●2009年10月26日(月)

写真:太陽光パネルや風車発電機でスマートグリッドシステム( http://
blog.goo.ne.jp/2005tora/e/2914ab876075c562ed16e376f319843e から)
■見聞録230 エジソン発想法:非常識なアイデアが 大成功を生む●今日の視点
「スマートグリッド」という言葉を耳にする機会がめっきり多くなった。 環境問題を考える時、一番に出てくるキーワードである。 オバマ米大統領が発表したグリーン・ニューディール政策の柱の一つである「新エネルギーシステム」として注目され、関連産業への企業参入が相次いでいる。 『 ネット百科事典 kotobank 』 には次の様にある。
「情報通信技術を活用し、電力を効率良く、安定供給できるよう設計した送電網。 気象によって出力が変わる太陽光発電や風力発電で生まれた電力を安全に発電網に流せるようにしたり、家庭の電気機器の設定を電力の供給量に合わせて調整したりすることが期待されている」
広大な地域を持つアメリカは、効率の良い日本に比べて、停電トラブルが一桁上とも言われる様な不安定というの配電事情もある。 原発も含めて安定的な電力インフラを強化しなければならない事情を、「スマートグリッド」を中心とする新規公共事業に期待を込めているのがグリーン・ニューディール政策と言われる所以である。
さて、鳩山首相が掲げる「日本は温室効果ガスを、2020年までに90年比25%減」という宣言は、太陽光パネルや風力などの自然エネルギー産業にとっては、強力な追い風となる。 期待した通りその気になって施策が実行されるとすると、売電比率が供給電力の10%を超え、現在の配電システムでは経常的に川下(家庭)から電気が、逆流する事になり、現在の配電システムでは対応ができなくなる、という事態となる。
そこで求められるのが、「スマートグリッド」という新しいインフラが必要となる。 太陽光発電の普及に加え、夜間電力の利用を前提にコンセントを備えたトヨタの「プラグインプリウス」、更に日産が意欲的に取り組む「電気自動車」の普及も考えれると、「スマートグリッド」は新しい社会基盤として必要不可欠なインフラとなる。
「スマートグリッド」について掘り下げるのは別の機会に譲るとして、今回本稿が取り上げたいのは、現在の文明社会の基となった電力システムの端緒を築いた「天才は1%のひらめきと99%の努力」という言葉で有名な「発明王エジソン」である。
電機メーカー「ゼネラル・エレクトリック(現在のGE)」の創業者であるこのエジソンが「京都の八幡竹を、炭化フィラメントの材料に使って白熱電灯の実験に成功」している事でも分かる通り、日本とも関わり深い。 実は、八幡竹を使った電球の一つが、飯田橋駅の近くにある「理科大学近代科学資料館」で、常時、目にする事ができる。 余談だがここは明治39年に建築の木造2階建校舎を復元されたもので、科学の発達について丁寧な説明も受けられるのでお勧めのスポットでもある。
さてエジソンは、電灯を開発するやニューョーク市当局から請け負って電力供給会社を設立、そしてニューヨークの5番街にオフィスを構え、電気、電力を売りまくるビジネスマンとして活躍した時期があった。 冒頭の「スマートグリッド」を考える時、川下から川上に至る電気を供給する電力ビジネスまで、手を広げたエジソンに思いが及んだという次第である。 グリーン・ニューディール政策が打ち出されたこの時代に、エジソンならどう考えるのだろうか。
1847年に生まれ84歳でこの世を去る迄の間に、個人としては最高の1093の特許を獲得しているエジソン。 電灯や蓄音機の発明はもちろん、電報、電話、タイプライター、マイクロホン、映画撮影用カメラとフィルム、蓄電池、電気鉄道、ゴム、採掘機械、セメント、X線機械、謄写版、送電システム (ソケット、スイッチ、ヒューズ、メーター等)など彼の頭脳から生まれた発明品の数々は、我々の文明生活の基礎を作ったといっても過言ではない。
経営者としての才覚やベンチャー起業家としての発想法も、実に学ぶところが多い。 そこで今回は、浜田和幸氏の近著:『未来を創るエジソン発想法』から、「エジソン発想法:非常識なアイデアが 大成功を生む」を取り上げたい。 まずは「エジソン発想法 筋肉は、使うほど発達するように、脳も、滴切に鍛えれば、どんどん強くなる」から入りたい。
●引用資料
浜田和幸:著 『未来を創るエジソン発想法』
●見聞録230(1) エジソン発想法──筋肉は使うほど発達するように、脳も、滴切に鍛えれば、どんどん強くなる「
100年前の時点で、エジソンのように「思考力」の大切さについて言及し、「脳を使え」「脳を鍛えろ」などと言った人は、かなり珍しかったであろう。 それほど、エジソンは特異な存在だった。 「考えない」ことによる弊害をどのように打破すればよいのか。エジソンは、脳も鍛えれば鍛えるだけ強くなると主張している。
──私には、考える訓練によっていかに多くのことが達成されるかが分かっている人が、1000人中1人もいないように見える。結局それは、幼い頃から自分で考えるという訓練を受けていないからだ。 誰もが、自分で考える力を天から与えられているのに、それを使っていない。 本当に信頼できる「ものの考え方」というものを、育んでいないのだ。
自分で考えることを習慣づけていない脳は、すぐに錆びつく。 普段から頭を働かせていないと、反応が遅くなる。 目の前にものすごいアイデアやチャンスがあるのに、目は開いているが見えず、耳はあるが聞けていない。 脳に刺激が行かないからだ。 脳は、体の他の部分とまったく同じだ。 筋肉は、使うほど発達するように、脳も、適切に銀えれば、どんどん強くなる。
腕を三角巾で固定し、同じ恰好で曲げたままにしておくと、三角巾を取ったあとでもしびれが残り、感覚が麻犀しているため、腕が動かなくなってしまう。 脳も同じだ。使わずにいると萎縮してしまい、何も生み出せなくなってしまう。(エジソン 1926年に記す)──
日本でも今、「脳の鍛え方」や「地頭力」などをテーマにしたビジネス書が人気となっている。 理由の一つは、著者の発想法や思考法を追体験することで、自分の脳に刺激を与えてもらおうとするからであろう。 しかし、実はここにも、エジソンの指摘と同じ問題が隠れている。
ビジネス書の著者と読み手は、置かれている環境も能力も違う。 著者にとって効果がある方法でも、読み手に効果があるとは限らない。 同じことができると思うところに、自分なりの思考がストップしている危険性がありはしないだろうか。 私たちは、エジソンが述べているように、自分の問題は自分で考えるべく、自分か本来持っている能力や潜在的な力に気づくべきではないだろうか。
もちろん、個人に限らず日本の国家においても自信を取り戻すことが必要である。 不況とか経済危機などと言われるが、日本には優れた技術や文化など目に見えない経験知が蓄積されている。 現代の日本人は、それらを土台に新しいものを創り出すことに対して、臆病になっている。自ら動かず、ビジネス書を読んだだけで、発想力が身につき、仕事ができるようになったと錯覚しているのではないか。
これでは、実際は先に進めない。 必要なのは、自分なりの思考力や、想像力を鍛えることである。 それができれば、新しいものを生み出す突破力や飛躍力も身につく。
●内容情報】(「BOOK」データベースより)
あらゆる進歩・成功は、自分の頭で考えることから湧き出てくる。 不況・逆境の乗り越え方、起業の着眼点、企画・アイデアのコツ、時代を読む方法。
●目次(「BOOK」データベースより)
1混迷の時代をどう乗り越えるか(正体を見抜けば、不況は克服できる/天才ベンチャーだから分かる「ビジネスの黄金鉄則」/逆境をチャンスに変える、発想の力/価値ある情報の見抜き方)/ 2 人生を果敢に切り拓くコツ(「考える力」で付加価値を生む/もっと幸福になる生き方/クリエイティブなOFF時間が、仕事力を倍増させる/人生の節目で、ますます熱くなれ)/ 3 先見力で、未来を創り出せ(創造的人材を生む教育/若者の使命/機械文明の本当の恩恵とは/チャレンジし続け、超科学に踏み出せ)
●浜田和幸(ハマダカズユキ)
1953年鳥取県生まれ。 東京外国語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院にて政治学博士号を修得。 戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。 現在、国際未来科学研究所代表。日本バイオベンチャー推進協会理事、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、特許庁工業所有権副読本選定普及委員などを歴任 著書に『快人エジソン』『ヘッジフアンド』『「国力」会議』『ウオーターマネー「水資源大国」日本の逆襲』『石油の支配者』『大恐慌』ほか多数。
■プロフイールはこちらから