昨日相談のあった事業所が、従業員数十人を雇用しながら長い間労働保険に未加入だった。
労働保険とは労災保険と雇用保険のこと。
一般的な業種の事業所であれば、賃金総額の1.95%が労働保険料として政府に徴収される。
それによって、従業員の業務災害や通勤災害のときに労災として手厚い給付がある上、雇用のセーフティネットとしての失業給付がもらえるわけだ。
それなのに長年加入していない事業所がまだまだある。
昨日の相談もそうした事業所からの相談だった。
「すぐに明日にでも会社実印と登記簿謄本を持参して、監督署に行ってください。ほかは何もいらないので、それだけ持参して、すみませんでした、と言ってください」と、私は言った。
「保険料はいつまで遡って徴収されるのですか」と、事業主は心配そうに聞く。
「法律では保険料の徴収権は2年時効なので、行政としては2年前に遡ることができるのでしょうが、事業主が自主的に納付しますと申し出ているのだから、今年度の4月まで遡るということで、ひたすらお願いしたらどうですか」と、私の経験則でアドバイスした。
今日、事業主からの電話。
「先生の言われたとおりでした。しかし、監督署の窓口で最悪3年前に遡れるんですよ、と言われたときは肝が冷えました。会社が倒産するかと思いました」
結局昨年の4月以降の労働保険料を支払えばすむことになったそうだ。
未加入の会社は概して知識不足のために余計な心配をしがちだ。
会社設立時に遡って数千万円の保険料を支払え、と言われたらどうしよう、と考えがちだ。
行政が何度督促しても加入しない悪質な事業所ならともかく、自ら進み出て、知識不足のために加入手続きを怠っていたことを真摯に謝れば、行政もあたたかい配慮をしてくれる。
いちばん悪いのは、重大災害を引き起こしてから労働保険に加入しようとする事業所である。
一昨年からこういう事業所には厳罰が下ることになった。
被災した従業員は当然労災の給付がある。しかし、その給付にかかった費用の全額を未加入事業所が負担しなければならない。
なおかつ、未加入期間の労働保険料を計算されて、最大3年分の保険料を支払わなければならない羽目になる。
長い間労働保険に未加入のまま放置している事業所は、今すぐにでも監督署に労働保険加入の手続をしてほしい。
そうでないと、もし重大災害が起こったら倒産の危機に瀕することになる。