開業して10年。新規ビジネスも失敗の連続。どうせ儲からない商売なら高い目標を掲げ、使命感に燃えて仕事をしていきます。金を追わず仕事を追います。

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sinojimu
社労士法人パートナーズ 代表  特定社会保険労務士/あっせん代理人  就業規則オンライン工房主宰  労働トラブル解決への道を模索し福岡市に生息中
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日曜出勤の振替でこの水曜はゴルフコンペに参加します。 [2007年09月30日(日) ]
女性職員が育児休業中なわけで、今日も私は仕事をしてしまった。
月末の請求事務と事務所ニュース送付のためだ。
慣れている職員なら半日で終わる仕事を、私は延々と3日がかりでやっている。

今日はテレビでゴルフの日本女子オープンを観戦しながらの作業だった。
不動裕理を影ながら応援していたが、諸見里しのぶに1打差で負けてしまった。
スタート前は3打差あったのを1打差までに追い上げたが、最終ホールはバーディーが決まらず万事休す。
諸見里は確かに力をつけた。パッティングがうまいし、落ち着いていた。

そんなわけで月末の事務処理がやっと先ほど終わってほっとしている。
代わりの職員を雇えば土日にわざわざ仕事をすることもないのだろうが、
最近売上が低迷気味であり、しばらくは男だけの事務所で辛抱することにした。

今週は、人材派遣会社から依頼された就業規則を週末までに納品しなければいけない。
水曜日には、親しくしている税理士事務所主催のゴルフコンペに参加する。
最近ゴルフの回数が減少気味であり、ぶっつけ本番のコンペとなるが、
練習も何もしないで、無欲でコンペに臨むと意外によい成績になることが最近わかった。先月のコンペで準優勝した。力みがないのがいいのだろう。
今日の休日出勤(?)が水曜日に振替となったと思って、水曜日は遊んできます。

Posted at 18:41 | 言いたか放題 | この記事のURL
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「専門性」を高め業績好調の社長と、豪遊しました。 [2007年09月29日(土) ]
昨夜は、顧問先の社長や税理士と中洲で”豪遊”した。設立1期目で黒字が出たため、祝いの意を込め、税理士と社労士が招待されたのだ。
社長から誘いをうけ、酒は嫌いではないし喜んで同行することになった。

従業員10名のソフトウェア開発の会社である。
技術力に更に磨きをかけて、専門性を高めたい、と、
社員の教育に力を入れておられる
小さくても存在価値のある企業である。
「専門性」。
これはこれからの中小企業にとって重要なキーワードとなるであろう。

”私利私欲”で経営されていないところがよい。
ソフト技術者志望の若者を、一から育て、一人前にしておられる。
それが私の使命だ、という。
社長の前職での管理指導者としての経験がものを言っている。

小さな会社では、社長が率先して社員の指導にあたることが大切だ。
社員が社長を尊敬することになり、求心力が高まる。
言うだけの社長ではない。実務能力をを具備した経営マネジメント兼リーダーとなりうる。

課題は?、と聞くと、
自分が高齢になったときに自分の代わりとなる人材を育てたい、と。
ナンバー2の育成が課題だという。

昨夜は中州の店を4軒はしごして、ぐでんぐでんになって帰宅した。
二日酔いはしなかったし、嬉しくて楽しい1日であった。
Posted at 19:26 | 言いたか放題 | この記事のURL
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社労士業はアウトソーシングじゃない! [2007年09月27日(木) ]
昔は手続代行又は労務管理のアウトソーシングなどと、事務所のパンフレットに入れていたが、外注業者と同等の扱いをされて困ることがあった。
仕事の話はすべて受付で済ます。
仕事はすべて「大至急」。
大事な話でも社長は出てこない。

最初が肝心である。
当方のへりくだった態度を見て
顧問料を値切ってくる。
結果としてそんな顧客とはいい仕事はできない。

今は、顧客とほぼ対等なスタンスで仕事ができていると思う。
こちらは言いたいことを言えている。
こと労働問題や社会保険等に関しては、こちらが上だ。
顧客の課題や経営状況を考え、問題やトラブルが予想されるときは
忠告ができている。

顧客からの相談は千差万別で、
時間をかけた調査が必要なケースがよくある。
社会保険事務所などに問い合わせるより
本省に直接問い合わせた方がよいケースもある。

固定の顧問料の範囲を超えた仕事を依頼される場合には、
その分の報酬は別途いただくことにしている。
だから、思い切り企画立案調査に没頭でき、
顧客の満足のいく提案・報告ができる。

顧問先の数が大事ではない。
顧客の質が大切である、と
最近つくづくそう思う。

金を追うな、良い仕事を追え。
Posted at 19:51 | この記事のURL
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親友の税理士が、倒れた・・・ [2007年09月26日(水) ]
親友の税理士が倒れた。脳出血。33年付き合っているポン友である。幸い命に別状はないそうだ。働き過ぎのせいだと、とっさに思った。
昨日の深夜、いち早く知った別のポン友からの携帯電話で知った。

昨日は眠れなかった。
すぐに、手術、だと聞いたからだ。
病院にすぐにとんでいきたい気持ちを抑えた。
「私が何をできるわけじゃない」
軽い脳内出血だろうし、最新の医療技術のある病院だから、
きっとすぐに元気になってくれる。
そう信じた。
そう信じるしか自分の気持ちの整理のしようがなかった。

そうして、今日。
私はスケジュール通りの一日が終ったが、
不安が消え去るときはなかった。

夜、連絡をくれたポン友に電話した。
手術は、慎重に検査をして、するかしないか判断することになったそうだ。
意識ははっきりしている。声をかけるとうなずくそうだ。
ただ、麻痺が。

ばかやろう。
ばかやろう。
仕事のし過ぎだったんだ。お前は。
夜9時頃に携帯に電話したら、いつも事務所に居たろう。

元気で、いつも人を笑わせてくれて、
気配りをしてくれる、いい奴。
そんな優しさが、人の依頼を断りきれず、
無理をしていたのじゃないのか。

私は3つ年上の先輩として、
何ひとつ忠告をしてやれなかった。
「無理するな」の一言もかけてやらなかった。

私は、18年前の35歳のときに、
大きな病気を3つした。
褐色細胞腫と、あと2つ。
がんだと思ったら良性だったので救われた。
ストレスや過労が原因だったと思う。

それ以後、考え方を変えた。
自分の健康への過信をやめた。
能力への自信過剰もなくなった。
それから病気らしい病気はしていない。

Posted at 23:03 | この記事のURL
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経営者のためだけの社労士ではない! [2007年09月25日(火) ]
[税理士と社労士だけは経営者の味方だと思っていたのに」と、ある社長は言った。「いや、社労士はこれからは労働者の味方にもなります」。

社会保険労務士法の改正により特定社労士は、労使トラブルについて経営者の代理も労働者代理もできるようになったのだ。

経営者の味方? たしかにそういう面もあったかもしれない。
毎月、顧問報酬をいただいているお客様ですから。

しかしこれからは経営者だけでなく、広く一般国民が顧客になりえると思うと、何度言ってもわかってくれない、ものわかりの悪い経営者に対しては、
「一ヵ月後に契約解除いたします」
という文書を送ることになる。

サービス残業など法違反を犯している顧問先が私の度々の忠告を聞かない場合は、もう味方になるもへったくれもない。
顧問契約解除ということになる。

しかし、それなりに私も努力をし、長い目で見ることもあるであろう。
私の忠告を聞いて少しずつ前向きに改善していこうとする経営者なら。

さて、税理士は経営者の味方か?
思いっきりそういう面があるような気がする。
ときには労働関連法を無視して経営者サイドに偏りすぎたアドバイスをされている気がする。
労働分野については社労士が専門なので経営者にアドバイスしてもらっては困る、と思う経験がよくある。

それらは全て経済的理由にある。
法の趣旨とくに憲法の主旨から逸脱し、顧客の機嫌を伺う、つまり金もうけの論理でわれわれ士業も動いていた可能性がある。

憲法に定められた生存権、生活権、社会権または幸福追求権を、国民が行使するために、法的知識が十分でない企業や生活者のために国家資格を与えられた代理者として
われわれ士業はある。
だから、なにも経営者だけの代理者ではない。

ここまで書いて非常に眠くなってきたので、筆をおく。
続きは明日以降にしよう。
Posted at 22:26 | 言いたか放題 | この記事のURL
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変わっていって欲しい、社労士業界 [2007年09月24日(月) ]
社労士業界は今まで事業主サイドで仕事をし過ぎてきた感がある、と考えているのは私だけだろうか。それは報酬につながりやすい、といった経済的理由だけでそうなっているだけにすぎないのでは。

司法書士業界や行政書士業界をみてみると、商業登記や許認可手続きでは事業主を支援し、クレサラ問題や遺言書などでは一般市民を支援している。

かたや、社労士界では「社長を守る」だとか「鉄壁の就業規則」といったサイトが賑やかなようである。どうも事業主サイドでものごとを考える癖がみについてしまっているようだ。

なぜなら、
年金相談については個人からの相談となるが、社保事務所など公的相談機関が無料で行っているため、わざわざお金を支払って社労士事務所に相談に来る人は少ない。

社会保険や労働災害についての個人からの相談は、当然ながら社保事務所や労基署が窓口となっている。社労士にくる相談は、行政不服申立てくらいだ。しかしこれもめったにない。

10年前、私が開業したての頃、住んでいるマンションの全戸に「労働・社会保険相談受け付けます」、というチラシを配布した。1相談3000円。しかし反応は皆無だった。250世帯ある大きなマンションだった。

行政サービスが充実しているわが国では、お金を支払って社労士に相談するという習慣はないことを実感した。弁護士に相談するような複雑な事案ならお金を支払うだろうが、ちょっとした知識や情報は簡単に無料で入手できる。

話は変わるが、
過重労働で疲れきった複数の企業を複数転職してきた私は、社労士になることを決意したのは、労務に関する正しい情報を事業主に提供し労務管理を改善してもらうことで、働く従業員のやる気を高めてもらって企業の発展に寄与したいと考えたからだ。

法を知らない、または知ろうとしない経営者が多すぎる。
労働基準法は、われわれ中小零細企業が守れるわけがない、と考える人が多い。

顧問先であった会社で倒産した会社が数社ある。
労働法を守ろうとしない会社だった。
私が何度忠告しても聞く耳を持たなかった。
表面だけは、わかったような返事をするが、一向に改善しようとしない。
いけいけどんどんで店舗数を増やしては従業員を酷使していた。

平成19年4月から、弁護士の分野であった労働トラブルの和解やあっせん手続きが社会保険労務士に正式に開放された。(以前から不完全な形での開放はあった)
特定社会保険労務士という労使紛争解決手法の研修と試験を通過した者だけが、その業務が行なえる。このことは、われわれの業界にとって大きな転機となるはずだ。

特定社労士の中には、労働トラブルに関し事業主側からの依頼しか受けない、という人が多いようだ。顧問先を多く有している事務所ほどそういう傾向が強いようだ。

私は、企業の発展は従業員のやる気感がベースにあってこそだと考えている。
会社サイドに立って社長を守ることだけが企業発展への道ではない。
従業員が自らの在職する企業に対し法的不備を指摘し、労使の話し合いを通じて労務管理のレベルアップを目指すお手伝いをしていきたいと考えている。

労働トラブル解決への道」をクリックすれば詳細が読めます。



Posted at 11:34 | 言いたか放題 | この記事のURL
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第3幕「就業規則による労働条件の不利益変更」のポイント解説 [2007年09月22日(土) ]
≪第3幕≫のポイント

1. 不利益変更が合理的となる要件
労働条件の不利益変更には、次のような要件を考慮して総合的な判断が必要です。
変更によって被る従業員の不利益の程度
変更との関連でなされた他の労働条件の改善状況
変更の目的と経営上の必要性
労働組合・労働者との交渉の経過
他の社員の対応
当該労働条件に関するいわば世間相場
これらの要件を満たしていない場合は、使用者の権利の濫用で無効となる可能性が高いでしょう。
合理的な就業規則変更は有効とされた有名な判例があります。
 (参考)秋北バス事件(最高裁昭和43年12月25日判決)
「新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないと解すべきであるが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されない」

2. 労働時間の規制
----------
 労働基準法第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を越えて、労働させてはならない。
2 使用者は、1週間の各日においては、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を越えて労働させてはならない。
                             ------
これが原則である。
この適用を緩和するものとして、1ヶ月変形労働時間制、1年変形労働時間制やみなし労働時間制などがある。
ただし、就業規則または労使協定による定めが必要である。
1年変形労働時間制における年間総所定労働時間  365÷7×40=2085時間
   1日8時間労働の職場では、2085時間÷8=260日
              よって、365日−260日=105日の休日が必要
   1日7.5時間労働の職場では、2085÷7.5=278日
              よって、365日−278日=87日の休日が必要
  ただし、年間休日カレンダーと労使協定書を監督署に届け出ることが必要である。

また、法定労働時間を越えて時間外労働や休日労働をさせる場合には労働基準法第36条に基づく時間外・休日労働協定(36協定)を締結し、所轄労働基準監督署に届け出なけなればならない。

3. 年次有給休暇

労働基準法第39条 使用者は、その雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
      1年6ヶ月以上  11日
      2年6ヶ月以上  12日
      3年6ヶ月以上  14日
      4年6ヶ月以上  16日
      5年6ヶ月以上  18日
      6年6ヶ月以上  20日

労働基準法第39条 第5項 (計画的付与)
   使用者は、労使協定により、有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を越える部分については、その定めにより有給休暇を与えることができる。

労働基準法第115条(時効)
    この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は、2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効により消滅する。

  年次有給休暇の請求権も2年間の時効とされているため、未消化の年休は翌年度に繰り越すことができます。しかし、繰り越した分の日数をを先に消化させるか、新たに発生した日数分を先に消化させるかについての行政解釈は出ていません。

 年次有給休暇の取得を毛嫌いし、就業規則を公開していない経営者は、
せめて「計画的付与」や「未消化年休繰越ルール」を決めてそのルールを公開すれば、従業員からの不平不満が少しは解消されるのではないでしょうか。
 就業規則を制定していない、または社員に公開していない企業をあまりにも目にすることが多い。それは「法の無知」による怠慢経営といっても過言ではないでしょう。
Posted at 18:13 | 労働法関連 | この記事のURL
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第3幕「就業規則による労働条件の不利益変更」の台本 [2007年09月22日(土) ]
9月19日に行った演劇 ”経営者のための、労務トラブル再現劇”「放っておくと大変なことになりますよ」の台本を公開します。

≪第3幕≫

●●就業規則による労働条件の不利益変更

松中社長「いやいや、このあいだは大変だった。労働基準監督署が入ってきて、過去2年分の残業手当を社員に払えというものだから、とうとう1000万近く払う羽目になった。この冬のボーナスは全員ないも同然だ。」

松中専務「社長、そんなこと言ったら社員たちがかわいそうですよ。このあいだの1000万だってこの20年間経営者保険に加入していたのを解約して返戻金(へんれいきん)を当てたので資金繰りにはほとんど影響していませんよ。」

松中社長「そうか。話は変わるが、私ももう昔みたいに馬力がなくなってね。若いときは毎年40件ほどの大口の受注をとったものだが、最近では年に10件あればいいほうだ。まぁ、川崎部長ががんばってくれてるからいいんだけれど、川崎部長は小口の注文ばかりなのが難点だね」

松中専務「小さな注文でも数多く取ってこられているので、結果的に大口受注と変わらないですよ。社長みたいに大口ばかり狙っているから好不調の差が激しくなるんじゃないですか」

松中社長「そういうもんかね。ただもう私は第一線で営業するのはもうやめようと思うんだ。社長はやっぱり、マネジメントに専念するのがいいと思う。」

松中専務「へえ、それはそれは。ついでにゴルフもやめられたらいかがですか」

松中社長「ゴルフはやめん!私の健康保持のために必要なんだ! ところで、財務の面では専務がちゃんとやってくれてるのでいいが、人のマネジメントがいちばん難しい。最近経営学の本を10冊ほど読んだけれど、なんにも参考にならんかった。すべて大企業向けに書いてある。」

松中専務「あ、そうそう。この前お友達のF社の社長の井上さんがお見えになって中小企業家同友会に入会しないかって、入会案内をおいていかれましたよ」

松中社長「そうか。どれどれ。『経営者の学校』? 『社員の創意や自主性が十分に発揮できる社風と理念が確立され、労使が共に・・・』。よし!入会しよう。(会場から拍手) もうこうなったら自社のことは自分なりにとことん考えて決めていこうと思う。ワンマン社長と言われようが、変人と言われようが、いいと思ったことはどんどん実行する。今まで柴原課長に労務の面では任せていたんだがなんにもアイデアが出て来やしない。やっぱりウチみたいな会社では社長自身が労務のことを考えんといかんのだ。」

うろうろと歩きまわりながら考えをまとめようとする松中社長
松中社長「いかに社員のモチベーションというか、やる気を上げさせるかだが。。。うちの会社は社員の定着が悪すぎる。定着が悪いから、社員からマシな改善提案が出てこない。そのことが営業が時代遅れの見積り提案しかできないし、サービス課の技術が上がらない原因なんだ。営業課に歩合給を取り入れていたけど、これが問題だった。基本給が一律15万円で、歩合給が0のときもあれば30万円の月もある。社員に良かれと思って始めたのだが、なんかこの数年、社員同士の会話が少なくなりよった。できる社員はノウハウを隠しよるし、できない社員のカバーにまわる者がおらんごとなった。人間関係が悪くなったのが社員の定着率が悪い原因だし、歩合給が高い社員についても高い給料がやる気の向上に結びついておらんようだ。じゃぁどうしたらいいんだろうか。
そうだ! 直接社員の声を聞いてみよう。え〜っと。まず営業の松田君を呼んでみよう。彼は物怖じしないし、ずけずけと私に物を言うから。入社したときは大変期待したんだけど結果が伴わないので、最近はちょっとマイっているようだ」

松田君「社長、松田です」

松中社長「おお、松田君か。すまんな、忙しいときに。君ね、うちの会社はやる気が出る会社と思うか?」

松田君 きっぱりと、「いいえ。」

松中社長 椅子から転げ落ちそうになり、「いやにはっきり言うなあ、君は」

松田君 「まず、就業規則を見せていただいたことがありますが、きちんと公開して運用されていないので、何が会社の基準となっているか、どういうルールになっているのかがわからないので、上司によって言われることがまちまちです。」

松中社長「ほぉ、会社の基準とは?」

松田君「年次有給休暇にしても、1ヶ月前に申請しないといけないという上司もいるし、直前でもいいという係長もおられます。直前でもいいと言われる係長でも休暇の理由によっては『忙しいからダメ』と言われます。不公平だという不満が私達若手の間では充満しています。有給休暇も満足にとれなくて、働け、働け、売上を上げろでは、まいっちゃいますよ。」

松中社長「そうか。有休はできるだけ消化させんように管理職には私から言ってきたからな。毎年20日も有休とられたんではいつ働いているのかわからんのでね」

松田君「お言葉ではございますが、社長は少々古いと思います。プライベートがあっての仕事ですから。ワークライフバランスっていう言葉があるでしょ。このままでは僕は結婚もできません。結婚しても奥さんから逃げられてしまいます。『あなたは仕事ばかりで』って。」

松中社長「では、わかった。有休のとり方のルールを決めよう。しかし年間20日のうえに前年度繰越分を加えると最大40日もあるんじゃたまらんなぁ。」

松田君「ものの本によりますと、社労士さんの書かれた本ですが、有休は翌年度に繰り越すことができるといいますけど、有休を消化するときに繰り越した日数分から消化させるのではなくて、その年度に発生した分から消化させてもいいそうです。
繰越分が9日で新たに発生した分が20日とすると合計29日あるんですが、その年に10日を消化したとすると、新たに発生した20日から10日を消化するので、前年繰越分の9日は自動消滅しますので10日しか翌年度には繰り越しません。」

松中社長「ほぉ、新たに発生した日数分から先に消化させるのか。繰り越した日数分は2年の時効で自動消滅というわけだな。よし、じゃ、そういうふうに就業規則を変更しよう! 有休の基準さえはっきりさせれば就業規則を全員に公開できるし。私は労働基準法の中で有給休暇の規定だけが気に入らんので積極的に就業規則を作るのをあきらめていたんだ。こらからは会社の経営にプラスになる規定もどんどん入れようと思うよ。松田君は労務に詳しいね。」

松田君「私もこの会社に入って、会社が良くなってもらいたいと思っていろいろ考えていましたので。それにネットで検索すればいろんな情報が手に入ります。 有休の計画的付与というものもあります」

松中社長「なんだその、『計画的付与』というのは」

松田君「たとえば20日有休を持っている社員には、15日は会社と社員が話し合って、年間休日カレンダーにあらかじめ入れておくことができる制度です。残りの5日は急な用事のときに任意に使える日数です。つまり、年間5日を越える日数分については計画的付与が可能だそうです」

松中社長「年間休日は、うちでは年末年始や盆休みを入れて年間105日あるだろう。それに有給休暇の15日を入れて、120日も休みをやれっていうのか?」

松田君「そうです。しかし年間105日の休日といいますが、営業課では土曜日はほとんどの社員が出勤していますよ。私の場合、実際には年間80日もとれていません。休日出勤手当は、自主的に出勤しているからとか、歩合給があるだろう、ということで支給してもらっていません」

松中社長「歩合給は今後やめる。全員固定給にして半年に1回は人事評価を行う。そして、賞与で差をつけるようにしようと考えとるんだ。基本給は人事評価によって年に2回改定する。そうして、休日出勤した社員には25%割増の手当を支給するよ。この前の労働基準監督官に絞られて、もうまいったよ。今後は土曜出勤はできるだけさせないようにしないと、人件費が上がってしかたがない。これでウチも世間並みの会社になるということだ。」

松田君「私も歩合給を廃止してきちんと人事評価をされることには大賛成です。会社の方針にしたがって努力する行動やプロセスを評価していただければいいと思います。私たち社員も、会社から評価されるとまた次も良い評価をもらおうと勉強したり工夫したりします。給料のアップも大切ですけど、金額そのものは私たちにはあまり関係ありません。世間並みの給料でいいです。でも、同僚のだれそれより自分の給料が低い場合でその評価が不合理なときは、やる気をなくす場合もあります」

松中社長「高い給料はいらんというのかね。君は、というか君達若いモンはハングリー精神がないんだね。成果を賞与で差をつけることにはどう考えるか」
松田君「賞与はもらって当たり前ですから。 前年より上がれば『あぁ、良かった』で終わってしまいますが、下がった場合はショックです」

松中社長「下がったときに辞めようと思う社員は辞めてもらってもいい。なにくそ、とそれをバネにする社員にだけ残ってもらいたい。とにかく、賞与は会社の業績と人件費との調整弁でもあるから下がるときもあれば上がるときもあると考えておいて欲しい。それとだね。思い切って昇給というか賃金改定のときに、これはという社員には重要な仕事を任せて給与自体を思い切って上げてみようと思う。だめだったときは元の給与に下げる、というのはどうか」

松田君「月給が上がったり下がったりするというのも、何か不安ですが。会社からやりがいのある仕事を任されたら悪い気はしません。ようし、やってやる、と思います。失敗したときは元の給料になっても自業自得と思います。プロ野球の世界でもそうですから」

松中社長「そこで休日の話にもどるがね。年末年始と盆休みを廃止する! 有休の計画的付与というものを導入し、全員、盆と正月は有休の消化日とする」

松田君「それはないですよ。今の就業規則には年末年始と夏季休暇が合計で10日、と書いてあるではありませんか。労働条件の不利益変更となって無効だと思います。」

松中社長「これまで年間80日しか休みがとれなかったのが、実際に年間105日は休めるんだから、いいではないか。10日の計画的有休消化日を入れてだがね」

松田君「有休消化日の10日を105日から差し引きますと年間所定休日は95日にしかなりません。これでは労働基準法で定める週40時間労働になりませんよ。1年間の変形労働時間制では1日8時間労働ですと年間105日の休日が必要です。その休日日数に有給休暇は加算できません」

松中社長「では1日の労働時間を7.5時間にしよう。9時から18時までという始業時刻と終業時刻はそのままにして間に休憩を90分とする。そうすると年間総労働時間が減るからいいんではないだろうか」

松田君「そんな。実際7.5時間どころか毎日10時間労働していますよ。それに営業は今までお昼の1時間も満足に休憩を取れていません。実際には1日の労働時間は何も変わっていないのに、休みの日数だけ減らされるでは不利益変更と言われてもしかたがありません」

松中社長「実質的な休みの日数はむしろ増えているではないか。残業は今後は会社の許可なくてはできないようにしたいと思っている。許可なく行った残業は勝手な残業だから手当は一切支給しない」

松田君「売上を上げないといけない中で残業の許可制が本当にできるんでしょうか!」

(ここで解説に入る)

篠塚が2分程度解説する。

                   了
Posted at 10:44 | 労働法関連 | この記事のURL
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第2幕「労働時間管理と不払い残業」のポイント解説 [2007年09月20日(木) ]
労働問題に詳しくない方が台本だけ読んでもよくわかられないと思いますので、私が当日ポイント解説したものを公開します。

≪第2幕≫のポイント

●●労働時間管理と不払い残業

1. 労働基準監督官のチェックポイント

●どういうときに調査にくるのか
@定期監督  定期的、計画的に実施される調査
A申告監督  労働者の申告が原因で実施される調査 
       事前の連絡なく突然調査に入ることがよくある
B災害時監督・調査  労災が発生した場合に災害原因の究明や再発防止措置のため       に実施される調査

●労基署の調査はなにを見るのか
@ 1日8時間1週間40時間の労働時間の原則を守っているか
A 残業させている場合「時間外・休日労働協定届」(36協定)が提出されているか
B 残業代等割り増し賃金が支払われているか
C 賃金台帳に法定で定めれた事項が記載されているか(労働日数、労働時間、残業時間数等)
D 労働時間の管理を行なっているか
E フレックスタイム制、裁量労働制その他の変形労働時間制などが適正に運用されているか
F 法定で定められた労働条件は書面で交付されているか
G 10人以上の労働者がいる場合は就業規則が作成・提出されているか
H 健康診断を年1回以上実施しているか
I 安全衛生管理体制は法定どおりとなっているか など

●調査の流れ 労働者の申告による場合
申告 → 調査 → 是正勧告 → 是正報告 
従業員全員に不払い残業手当を2年分支給し、是正報告が適正であればOK
             → 是正勧告を無視  書類送検または逮捕もありえる

2.事業外みなし労働時間制の運用の注意点

第○○条(事業外みなし労働時間)
社外において業務に従事するため就業時間を算定しがたい者は、所定労働時間労働したものとみなす。

実際にはこのような規定があっても、一人で社外で営業活動を行い、外出先の決定が本人に任されており携帯電話での業務報告の義務もないケースを除き、労働時間が把握できないことはないものです。
また、帰社後の社内業務が日報作成だけならともかく、帰社しても関連する業務を行なうのが通常です。
就業規則や労使協定で定めることができるのは、社外で行なう業務に必要とされる時間をみなし労働時間とすることができるだけであり、社内での業務に要する時間を含めてみなし労働時間とすることはできないことになっています。

ですから、営業に従事する従業員には営業手当などの名称で固定で支給し、賃金規程で「営業手当は時間外労働割増賃金」であることを明確にしておくことが重要です。

3.歩合給制をとっている場合の時間外労働割増賃金

売上歩合給は、すでにその役割を終えています。数字だけで給与を増減させていくことの弊害は、いろいろな企業のケースで証明済みです。
短期的な雇用であって、瞬間的に業績を上げたい、または本人の適性を見極めた上で契約社員など特定の社員に歩合給を導入するのはいいかもしれませんが、社員の士気は長続きしません。また、良い人材を採用できません。

それは、社員は、本当は、「給料」の高さだけを動機にして仕事をしているわけではないからです。歩合給を取り入れている会社はそのあたりをしっかり考え直す必要があります。

完全歩合給だからといって、残業手当を支給しない場合は労基法に抵触します。あらかじめ定められた方式に基づいて計算した歩合給額に、次の割増賃金をプラスして支給しなければなりません、

  当月の歩合給÷総労働時間×0.25×時間外労働時間数

この決まりがあるのはなぜでしょうか。歩合給であって成果に応じて高い報酬を支給しており、本人も納得していれば割増賃金など必要ないではないか、とお考えですか。
歩合給は従業員に長時間労働を促進する要因があるからです。
逆に会社に割増賃金支払を義務づけることで所定時間内に仕事を終わらせるように仕向ける動機付けとなるからです。


4.過重労働は安全配慮義務違反に問われ、多額の損害賠償責任を負うことに。

長時間労働による脳血管疾病については従来から労災が 認められていましたが、過重労働に基づくストレス起因の疾患についても労働災害と認められるようになった。
その根拠は、使用者側の安全配慮義務にある。
漠然と長時間労働を継続させるような労務管理は、安全配慮義務違反となる可能性が高い。
では、どのくらいの長時間労働を過重労働というのだろうか。
厚生労働省は、平成14年2月12日に通達でそのおおよその基準を示している。
残業時間については、できるだけ月45時間以内を遵守させる。
月100時間又は2ヶ月ないし6ヶ月間の1ヶ月平均の時間外労働が80時間を越えると認められる場合、 産業医等の助言指導等の措置をとる。
1ヶ月平均80時間とは、1日8時間1ヶ月24日の労働日があったと仮定すると、
1 日あたり、2時間の残業で、48時間となる。
しかも、1日8時間労働の会社であれば、所定労働日数は21日乃至22日が限度であるから、
24ー21日=3日は、休日労働を行なっていることになり、
3日×8時間=24時間を48時間に加算すると、72時間となる。
つまり、毎日2〜3時間の残業と休日出勤を月に3日を継続していれば、安全配慮義務違反が疑われる。
1 日10時間の実労働時間が毎日であり、1ヶ月に休日が6日程度しかない会社は
産業医等の助言を受けていない場合は、早急に労働時間の短縮を図るべきだろう。
この基準は管理者や、みなし労働時間制の従業員も含んでいる。
平成18年4月1日から労働安全衛生法が改正され、
月100時間を越える時間外労働を行なった労働者の申し出があれば、医師の面接指導を行なわせることが法律上の義務となった。

5.労働基準監督署の調査よりももっと怖い、不払い残業手当請求事件

労基署の調査は、事業所に対する行政指導であり是正勧告であり、間接的に全労働者の利益となりますが、労働者は同時併行で内容証明郵便で不払い残業手当の請求をしてくることがあります。
これは、法的措置を前提にした請求であり、その多くは、労働局へのあっせんや、裁判所への提訴を前提としています。
労働局へのあっせんは、訴訟へ至るまでの前段階として位置づけられ、円満な和解を目指すもので、喧嘩となる訴訟と異なりソフトな解決手段として活用が増加しており、特定社会保険労務士だけが本人代理できるものです。
簡易裁判所への少額訴訟は60万円まで、本人だけで簡単に提訴できます。
60万円を超える場合は通常訴訟となりますが、140万円までは司法書士が代理することができます。一部の司法書士は不払い残業手当請求訴訟の代理業務を積極的に行なっています。
訴訟に至った場合に最も怖いのは、本人の請求により裁判所が、不払い残業手当と同額の付加金の支払を命じることができる点です。(労働基準法第113条)
過去2年間の未払い賃金の2倍を支払うことになりますので注意が必要です。
Posted at 20:16 | 労働法関連 | この記事のURL
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第2幕 「労働時間管理と不払い残業」 [2007年09月20日(木) ]
昨日、中小企業家同友会の9月例会で、演劇をやってきました。
2ヶ月間ずっと企画し、台本を練り、配役を決め、練習を重ね、やっと昨日終わりました。
演題は、
経営者のための、労務トラブル再現劇「放っておくと大変なことになりますよ!」

見てくださった皆さんからの評価は、「たいへんわかりやすくためになった。」「同友会の例会として画期的な内容だった」と、おほめの言葉がズラリ!

私の独断と偏見で引っ張ってきたこの企画に、主旨を理解し、立派に演じられた出演者(会員さん)の皆様や、台本の作成等に協力いただいた2人の社労士さんに、あらためて感謝いたします。

第1幕から第5幕までありましたが、私が台本を担当した第2幕と第3幕のシナリオを全文このブログで公開します。
まずは今日は、第2幕のご紹介です。

≪第2幕≫

●●労働時間管理と不払い残業

総務課の城所君がひとりでつぶやいている。
城所君「毎日毎日残業ばかりで疲れるなあ。給料は安いし、こんな会社もう辞めようかなあ。でも俺の能力じゃ、他の会社はなかなか雇ってくれんやろうな。しょうんなか。もうちょっと我慢してがんばるか!」
そこに柴原課長が現れる。
柴原課長「おい、城所君。なんばぶつぶつ言いようとか。給料計算を今日中に仕上げないとあさっての支給日に間に合わんぞ。」
城所君「あ、課長。お疲れ様です! 営業課からの個人別売上成績のデータがまだ来ないので計算ができないんですよ。課長からも川崎部長に催促してくれませんか」
柴原課長「そうか。川崎部長はいつも忙しいからな。でもデータは約束どおり支給日の3日前までには総務に提出することになってる。よし、私が電話してあげよう。」
柴原課長、内線電話をかける。
柴原課長「あ、川崎部長ですか。柴原です。あのぉ、個人別の売上データをですね、何時頃になりますか。あ、そうですか。6時ですね。はいわかりました。」
城所君「いつも営業はこうなんだから。そのせいで僕が遅くまで残業しないといけない。きのうは社会保険の算定基礎届で夜の11時までかかったし、今日は8時には帰りたいよお」

(翌日)

城所君が席を立って課長の席にずかずかと歩み寄る。
城所君「課長。お話があります。」
柴原課長「なんやね、急に」
城所君「きのうは営業からのデータが来たのが8時でしたので給料計算が終わったのが10時でした。おとといも11時まで会社にいました。私の給料は課長もご存知でしょう。基本給18万。残業手当は月20時間固定で26,000円。合計206,000円です。」
柴原課長「だからなんだ。」
城所君「せめて実際の残業時間に応じて残業手当を支給してもらえませんか。うちの会社はタイムカードはないし、出勤簿にはんこを押すだけです。でも私は毎日手帳に出社時刻と退社時刻をメモしています。もうつけはじめて2年になります。」
柴原課長「何を言っているんだ。そんなことが社長の耳に入ってみろ。怒鳴られるどころか即刻クビと言われるぞ。それに君だって、自分のミスをカバーするために遅くまでかかっていることもあるだろう。おとといの社会保険の算定基礎届だって、もう何年もやっているのにいまだに参考書に頼りながらやってるから遅くなるんだ。会社というものはだな、少々不満なことがあってもじっと耐えて辛抱していれば、私みたいに課長にまではなれるんだ。君の働きぶりは社長も専務も良くわかっておられるよ。ミスさえ少なくなれば、来年の昇給査定のときには君を係長に推薦しようと考えていたところだ」
城所君「そうですか。無理ですか」
と、しぶしぶ席にもどる城所君

(数日後)

柴原課長と城所君が席で仕事をしている。そこに労働基準監督官2人が現れる。
古田労働基準監督官「株式会社イースタンホークスさんの事務所ですね。私はこういう者です。社長さんもしくは労務の責任者の方はおられますか」
柴原課長「社長はただいま外出中です。私は総務課長の柴原と申します。御用件はなにか?」
古田労働基準監督官「出勤簿もしくはタイムカード、それに賃金台帳と労働者名簿をみせていただけますか」
柴原課長、専務に内線電話をする。
柴原課長「専務ですか。いま労働基準監督署が突然こちらに見えまして。あ、そうですか。わかりました。私の方で対応いたします」
柴原課長「どうぞこちらへ。しかしいきなり、何のためにお見えになったのでしょうか」
古田労働基準監督官「実は、御社の従業員さんから申告がございまして。労働時間の管理を適正になさっておられるかどうか、それと賃金との整合性を調査するために来ました」
宮本労働基準監督官 うなずく。
柴原課長「出勤簿はこちらです。賃金台帳と労働者名簿は、あ、城所君こちらへ持ってきてくれたまえ」
古田労働基準監督官「出勤簿には時刻の記入がありませんね。」
柴原課長「所定労働時間が9時から6時の8時間ですので、時刻の記入がないときは8時間労働ということです。」
古田労働基準監督官「就業規則を見せていただけますか」
柴原課長「はい、こちらです」
古田労働基準監督官「営業課は毎日8時間労働ということですか? 営業の方はたしかに外出が多いので、8時間の事業場外みなし労働時間ということでしょうが、帰社してから事務作業を行っておられるのではないですか。」
柴原課長「いや、それは、ないと思いますが」
古田労働基準監督官「賃金台帳を見てみますと、営業手当が歩合制のようですね。歩合給の場合でも労働時間管理を行なう必要がありまして、1日8時間を越える残業があった場合1ヶ月の総労働時間で歩合給の金額を割って1時間単価の0.25倍に時間外労働時間数を掛けて残業手当を支給しなければなりません。もちろん、基本給の時間あたり単価の1.25倍に時間外労働時間数を掛けた金額を加算する必要があります。」
宮本労働基準監督官 うなずく。
柴原課長「営業はみなし労働時間を採用すると就業規則にも書いています」
古田労働基準監督官「実は、申告してきた御社の従業員さんから、毎日会社に帰社してから営業会議とか提案書作成とかで夜9時までの残業がザラだという申し出が来ております。営業の方たちの実際の労働時間を調査したいと思います。パソコンの電源を切った時刻を調べさせてください」
柴原課長「だから営業は事業場外みなし時間制だと言っているじゃないですか」
古田労働基準監督官「事業外みなしとは、会社の外で業務に従事しているために労働時間の算定が困難な場合に所定労働時間働いたとみなしていいといい制度です。ですから社内業務で労働時間の把握が可能な業務時間は別途計算し、みなし労働時間数の8時間に加算しなければなりません。御社の場合、労働時間の記録が全くなされておられないようです。傾向といたしまして長時間労働の職場ほど労働時間の管理がずさんとなっています。不払い残業の温床となるとともに過重労働が重なると社員さんたちの心身の健康を害しかねません。従業員さんたちは自分で出社時刻と退社時刻を手帳などにメモしておられることがあります。会社が正しい労働時間の記録をお見せできない場合、客観的な証拠としてパソコンやサーバのログインログアウト時刻や、従業員さんたちの手帳のメモを採用することがあります。」
柴原課長「そういえば、そうなんですよね」
と、がっくりと肩を落す。

ここで「解説」が入る。

篠塚が出てきて解説を行う。(約2分)

篠塚「柴原課長。営業でも労働時間の管理をしなければならないことがわかりましたか」
柴原課長「はい。実は私はわかっていました。しかし社長に法律的なことを言うとああいう人ですから何を言われるかわかりませんので黙っていました。でもこれからは出社時刻と退社時刻を出勤簿に記入させるようにします。社長にそうしなければいけない時代なんですと説得します。しかしそうしますと時間外手当が膨大な金額になりますので到底うちの会社では人件費倒産になりかねません。時間外労働を減らすように全社的に対策を考える必要があると思います。また、営業手当が時間外労働手当の代わりであるという規定に就業規則を変更して、歩合給についても見直ししなければいけないと思います」
篠塚「城所さん、できるだけ定時に仕事を終えるように、またはせめて1ヶ月20時間の残業時間におさまるように、仕事の段取りや中身を見直してみてはいかがでしょうか。それには課長の手助けも必要と思います」
柴原課長、城所君「はい。わかりました」
                              了
Posted at 19:54 | 労働法関連 | この記事のURL
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