≪第3幕≫のポイント
1. 不利益変更が合理的となる要件
労働条件の不利益変更には、次のような要件を考慮して総合的な判断が必要です。
変更によって被る従業員の不利益の程度
変更との関連でなされた他の労働条件の改善状況
変更の目的と経営上の必要性
労働組合・労働者との交渉の経過
他の社員の対応
当該労働条件に関するいわば世間相場
これらの要件を満たしていない場合は、使用者の権利の濫用で無効となる可能性が高いでしょう。
合理的な就業規則変更は有効とされた有名な判例があります。
(参考)秋北バス事件(最高裁昭和43年12月25日判決)
「新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないと解すべきであるが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されない」
2. 労働時間の規制
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労働基準法第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を越えて、労働させてはならない。
2 使用者は、1週間の各日においては、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を越えて労働させてはならない。
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これが原則である。
この適用を緩和するものとして、1ヶ月変形労働時間制、1年変形労働時間制やみなし労働時間制などがある。
ただし、就業規則または労使協定による定めが必要である。
1年変形労働時間制における年間総所定労働時間 365÷7×40=2085時間
1日8時間労働の職場では、2085時間÷8=260日
よって、365日−260日=105日の休日が必要
1日7.5時間労働の職場では、2085÷7.5=278日
よって、365日−278日=87日の休日が必要
ただし、年間休日カレンダーと労使協定書を監督署に届け出ることが必要である。
また、法定労働時間を越えて時間外労働や休日労働をさせる場合には労働基準法第36条に基づく時間外・休日労働協定(36協定)を締結し、所轄労働基準監督署に届け出なけなればならない。
3. 年次有給休暇
労働基準法第39条 使用者は、その雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
1年6ヶ月以上 11日
2年6ヶ月以上 12日
3年6ヶ月以上 14日
4年6ヶ月以上 16日
5年6ヶ月以上 18日
6年6ヶ月以上 20日
労働基準法第39条 第5項 (計画的付与)
使用者は、労使協定により、有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を越える部分については、その定めにより有給休暇を与えることができる。
労働基準法第115条(時効)
この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は、2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効により消滅する。
年次有給休暇の請求権も2年間の時効とされているため、未消化の年休は翌年度に繰り越すことができます。しかし、繰り越した分の日数をを先に消化させるか、新たに発生した日数分を先に消化させるかについての行政解釈は出ていません。
年次有給休暇の取得を毛嫌いし、就業規則を公開していない経営者は、
せめて「計画的付与」や「未消化年休繰越ルール」を決めてそのルールを公開すれば、従業員からの不平不満が少しは解消されるのではないでしょうか。
就業規則を制定していない、または社員に公開していない企業をあまりにも目にすることが多い。それは「法の無知」による怠慢経営といっても過言ではないでしょう。
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