社労士業界は今まで事業主サイドで仕事をし過ぎてきた感がある、と考えているのは私だけだろうか。それは報酬につながりやすい、といった経済的理由だけでそうなっているだけにすぎないのでは。
司法書士業界や行政書士業界をみてみると、商業登記や許認可手続きでは事業主を支援し、クレサラ問題や遺言書などでは一般市民を支援している。
かたや、社労士界では「社長を守る」だとか「鉄壁の就業規則」といったサイトが賑やかなようである。どうも事業主サイドでものごとを考える癖がみについてしまっているようだ。
なぜなら、
年金相談については個人からの相談となるが、社保事務所など公的相談機関が無料で行っているため、わざわざお金を支払って社労士事務所に相談に来る人は少ない。
社会保険や労働災害についての個人からの相談は、当然ながら社保事務所や労基署が窓口となっている。社労士にくる相談は、行政不服申立てくらいだ。しかしこれもめったにない。
10年前、私が開業したての頃、住んでいるマンションの全戸に「労働・社会保険相談受け付けます」、というチラシを配布した。1相談3000円。しかし反応は皆無だった。250世帯ある大きなマンションだった。
行政サービスが充実しているわが国では、お金を支払って社労士に相談するという習慣はないことを実感した。弁護士に相談するような複雑な事案ならお金を支払うだろうが、ちょっとした知識や情報は簡単に無料で入手できる。
話は変わるが、
過重労働で疲れきった複数の企業を複数転職してきた私は、社労士になることを決意したのは、労務に関する正しい情報を事業主に提供し労務管理を改善してもらうことで、働く従業員のやる気を高めてもらって企業の発展に寄与したいと考えたからだ。
法を知らない、または知ろうとしない経営者が多すぎる。
労働基準法は、われわれ中小零細企業が守れるわけがない、と考える人が多い。
顧問先であった会社で倒産した会社が数社ある。
労働法を守ろうとしない会社だった。
私が何度忠告しても聞く耳を持たなかった。
表面だけは、わかったような返事をするが、一向に改善しようとしない。
いけいけどんどんで店舗数を増やしては従業員を酷使していた。
平成19年4月から、弁護士の分野であった労働トラブルの和解やあっせん手続きが社会保険労務士に正式に開放された。(以前から不完全な形での開放はあった)
特定社会保険労務士という労使紛争解決手法の研修と試験を通過した者だけが、その業務が行なえる。このことは、われわれの業界にとって大きな転機となるはずだ。
特定社労士の中には、労働トラブルに関し事業主側からの依頼しか受けない、という人が多いようだ。顧問先を多く有している事務所ほどそういう傾向が強いようだ。
私は、企業の発展は従業員のやる気感がベースにあってこそだと考えている。
会社サイドに立って社長を守ることだけが企業発展への道ではない。
従業員が自らの在職する企業に対し法的不備を指摘し、労使の話し合いを通じて労務管理のレベルアップを目指すお手伝いをしていきたいと考えている。
「
労働トラブル解決への道」をクリックすれば詳細が読めます。