ハイデルベルグ社から画期的な仕組みの印刷機が発表されました。アニカラーと言われる仕組みにより、まるでコピー機のように、誰でも操作出来る装置になりつつあります。
印刷は、版の表面に均一な厚みのインキを塗布する事から始まります。
今までのオフセット印刷機械では、インキ壺から出たインキを何本かのローラーで練る必要がありました。この場合、インキ壺から出たインキは、複数のローラーを経由して版面に到達する為、印刷の図柄によってインキを出す量をコントロールする必要があり、これがカラー印刷の濃度ムラの原因となって来ました。
インキ壺からの呼び出しローラー=版面への着けローラーという仕組みにすれば、常に一定のインキ膜厚で版に供給出来ます。
その昔、東レから『VS-1000』という水無し平版の追い刷り印刷機があり、まさにこの原理でした。
明文舎印刷商事(株)では今も現役で稼働しています。
問題は、この1本のローラー(写真の、着けローラー部分)に、どうやれば均一で安定したインキ膜面を形成するかになります。
VSという機械では、下記写真のように、インキ壺とローラーの隙間を一定にして、そのスリット幅でインキ膜面を一定に形成していました。この仕組みはインキ壺とローラーに精度を要求される事や紙粉などがスリット部分に詰まってしい、安定性に欠けていました。
今回のアニカラーでは、写真のようにチャンバーから供給されるインキを一旦アニロックスロールで受けます。
アニロックスロールは細かいメッシュのはいったロールで、メッシュ(セル)の深さでインキの量が一定になります。接着剤やコーティング剤などの塗工装置にしばしばこの仕組みが採用されます。フレキソ印刷も、版に対してアニロックスロールでインキを供給するので、特に珍しい機構ではありません。塗工量を増減したい場合は、セルの深さが異なる別のメッシュローラーを用意して入れ替える必要があります。
インキの温度や水の管理など、ある程度のスキルは要求されると思いますが、とても良く考えられた装置です。ただ、例えば、印刷中、部分的にもう少し赤色を強くしたいと思っても製版まで戻ってデータを作り直し、版を作り替える必要があります。
スキルの一極集中化という話しです。その昔、『VS-1000』を開発した東レのエンジニアの人も同じ話しをされてました。スキルを分散させると、例えば赤が濃い場合、元データが悪いのか、版が悪いのか、印刷が悪いのか判らなくなります。今回の仕組みでは、プロフェッショナルがプリプレスでカラーマッチングを正確にしておけば、後は素人が印刷してもドンピシャリのカラー印刷が出来ます。
CTPと組み合わせれば、理想の形ですね。