人は、信頼できない人の言うことは(たとえそれが正論でも)聞きたくないものです。立場上 従わなければならないから「しかたなく」従うのです。表面的には従っていても、後ろを向いて舌を出しているような状態です。逆に、信頼できる人の言うことは(たとえそれが正論でなくても)なんとか聞いてあげたいという感情が働くものです。どちらの関係を築くのが良いかは、考えるまでもありません。
では、常日頃どのようなコミュニケーションを行なっておくべきでしょうか。どのようにして社内のメンバーと信頼関係を築けば良いのでしょうか。
まず、あなたなら、どんな人を信頼するか、またどんな人を信頼しないかを考えてみるとヒントを得られると思います。
ある分野において、あなたよりも経験、実績、知識などが豊富な人は「頼りになる」と考えるかもしれません。確かにそうです。でも、実力があったとしても、約束を守らない人、責任感がない人、敵意むき出しの人を信頼することができるでしょうか。
少なくとも信頼関係は、「約束を守る」という前提に基づいて成り立っています。約束は守るのが当たり前です。ですから、約束を守ったからといって加点されることはありませんが、一度約束を破ると容赦なく信用を失ってしまいます。
消費者に安全な商品・食品を提供するというというのが、企業の暗黙の約束です。これを守ったからとて、ほめてもらえるわけではありません。でも、もしこの暗黙の約束が破られたり、提供する商品やサービスについての情報(広告やラベル表示など)に偽りがあったりした場合には、どうなるでしょうか。ニュースでよく目にする状況、つまり企業の社会的責任が追求され、消費者からの信用を失うことになるでしょう。失った信用を回復するのが、どれほど大変かは説明するまでもありません。
また、極端に自己中心的な人も信頼することができないでしょう。自分の利を最優先に求める人です。自分が利益を得るために、しばしば会社、顧客、部下、また他のものを犠牲にするという選択をします。例えば、自分の成績を良くするために部下の成功を横取りしたり、自分の失敗を部下に押し付けたり、お客さまに不当に商品やサービスを売りつけたり、また会社の財産の一部(小さな例では備品)を自分のものにしたりします。このような行為は、事実に反することであり、「不正直」または「不正」といえます。不正を行なう人たちは、周囲に対して不正直であるだけでなく、自分自身の良心に対して不正直なのです。
◎ 約束を守らない人
◎ 正直でない人(自分の利に執着し不正をする人)
このような人は、私たちとの約束、そして私たち自身を軽視する傾向があります。そして、自分を正当化し続けます。
約束を守る、正直である、ということは人として当たり前のことです。けれども、口で言うほど簡単なことではないことも事実です。色々な出来事がおこる日々の生活の中で、絶えず自分に厳しく言い聞かせ、自分を律し、制していなければならないからです。
「ごめんごめん、忘れてた」
「なんか、ここんとこ忙しくてさ」
「メール処理がてこずっちゃって」
このような言い訳をすることはないでしょうか? 恥ずかしながら私はあります。この発言の背後には、決して認めたくはありませんが、「あなたとの約束より、もっと大切なことがたくさんあるんだ」という意識がどこかにあるはずです。そもそも、本当に大切なことならば忘れないものです。言い訳をしようとする自分を律し、妥協しようとする自分を制すること。自律と自制こそが、信頼にたる人間になる土台となるのだと思います。
「このくらい大丈夫」
と、ちょっと気を緩めるとすぐに自分に甘くなってしまいます。人が見ていないところでは特に、自分の良心に対する正直さが試されます。
だからこそ、約束を守ることと・正直であることを常に意識し、自分に甘くなろうとする気持ちを戒めていかなければなりません。さもないと、日々の出来事に忙殺されてやるべきことを忘れ、甘えただらしない姿が露呈してしまいますから。
やま