そのためには、必死のコミュニケーションに努めなければならないのです。行動を変えるという目的を達成できるまで、必死になって手段を考え、効果的と思われるあらゆる手段を使って伝えなければなりません。「相手に対して発言することが目的ではない」というのは、コミュニケーションの本質ですが、ついうっかり忘れてしまうものだと思います。
◎ 素晴らしいビジョンを設定した
◎ ほれぼれする経営方針も策定した
◎ 成長・競争戦略もばっちりだ
◎ 各種制度・仕組みも刷新した
◎ 組織も新たに編成した
これでばっちり!
と言いたいところですが、社員の行動が変わらなければ「計画倒れ」に終わってしまうでしょう。行動が変われば、得られる結果が変わります。新しい行動パターンが定着したときに、新しい企業風土が定着します。組織改革の最終形は、企業風土が変わるということに行き着くと思います。
コミュニケーションは、「求める結果を得る」ための手段ですから、どうしても人からの協力を得なければなりません。
組織の変革を計画通りに実施するためには、社員の協力が必要になります。では、どうすれば協力を得られるのでしょうか。もっと深く考えてみましょう。まず、人はどんなときに協力的になるか、その動機付けについて考えることから始めます。
動機付けには、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」があると言われています。
外発的動機付けとは、
◎ これを達成すれば金銭または物品などの報酬をもらえる
◎ これを達成すれば昇格する。新たな責任や地位を与えられる
◎ 断ったり失敗したりすると賞罰を与えられる
といったもので、こうすれば○○してもらえる(される)という外部要因によって動機付けられます。
内発的動機付けとは、
◎ 人の役に立ちたい
◎ やると楽しい(行為そのものが満足につながる)
このように、自分自身の「興味」や「関心」が行動の引き金となるものです。
外発的・内発的に関わらず、人は動機があれば行動します。しかし、動機付けられるためには、自分が行動をおこすことについて自分自身の納得がなければなりません。ちょっと、ややこしい表現になりますが、相手の意見に納得していなくても、自分が行動することに対しての納得感があれば、人は動機付けられて行動します。たとえば、相手に好意を持っているときには、「それはちょっと違うと思うんだけど、あなたが言うことだからやるよ」という感じです。
トップの意向が現場の行動にまで落とし込めない理由のほとんどは、社員に対する動機付けが不十分であるためと考えられます。エンジンは高速で回転しているけど、動力がタイヤまで伝わっていないから車が走らない、そんな状態は避けたいものです。
ですから、社員の協力を得るためには、いかに動機付けを行なうかが重要になってきます。エンジンの回転力をタイヤに伝えるために、クラッチがつながりシャフトが回転するように、トップの意向が現場に伝わり行動に変化をもたらすためには、「動機付け」のコミュニケーションが必要になります。
最初は外発的動機付けを与え、徐々に内発的動機付けを醸成していき、最終的に社員一人ひとりが自発的に創意工夫をしながら行動していく状態を作るのが好ましいと思います。
外発的動機付けは即効性のある簡単な手段ですが、それを多用すると、徐々に効果が薄れてくるからです。たとえば、今回100万円のインセンティブをつけたとすると、次回は100万円では満足できなくなります。人は刺激に慣れやすいものだからです。
逆に、内発的な動機付けは、外からの刺激では起こりにくいものですが、これに成功すると社員は自ら目標を目指して創意工夫し、率先して走り始めるようになります。
動機付けに関しては、アブラハム・マズローが提唱した「欲求5段階説」や、ハーズバーグが提唱した「衛生理論」を知っておくと役に立つと思います。機会があれば別途説明いたします。
やま