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「マニュアル119番」ブログへようこそ。
このブログは、製品マニュアル制作の豊富な経験を持つプロのテクニカルライターが、
文書やコミュニケーションについて、あれこれ語ってしまおうという、
お役立ちブログです。

使い切りデジカメの話  2008年08月21日(木)

投稿者:Ash

 十数年前まで、商品の「使い捨て」といえば、その商品のもつ優位性のひとつに数えられたものでしたが、今の世の中そうではありません。使い終わっても捨てずに再使用(リユース) →たとえ使えなくなっても捨てずに修理(リペア、リフォーム) →さらに直らなくなっても捨てずに再生利用(リサイクル、リプロデュース)と、モノは捨てずに使って使って使い切るのが、良識ある態度と見られるようになってきました。歓迎すべきことです。いや、昔はなんでもそうだったんですけどね。

 そこで「使い捨て」ならぬ「使いきり」デジタルカメラがこのたび発売されました。
 一部メディアで、「使い捨てデジカメ」と報道されていたのを聞きましたが、この製品は使い捨てではありません。規定枚数を撮影し終わってからショップへ持ち込むと、データをCDにしてくれます。本体は、ショップが回収してくれるのです。
 回収された本体は解体、データも消去されます。そして再使用できるユニットは組み直され、また同じ製品として市場に出されるという仕組みです。なんとも頼もしい使い切り具合を見せてくれるではありませんか。

 さらに、ディスプレイは廃棄された携帯電話から回収したものを再使用しているのだそうです。なかなか、やってくれます。
 現在販売されているのは関東圏のみという話ですが、全国で取り扱いが始まるのもそう遠い日ではないでしょう。

 カメラ店によるこのリサイクルシステム、じつはフィルムのカメラですでに実績のある仕組みです。
 以前はどこの土産物屋さんでも置いていた「使い捨て(?)カメラ」。おもちゃのようなプラスティック製の箱の中に、レンズ、フラッシュ、フィルムを内蔵し、誰にでも簡単に撮影できます。フィルムを使い終わればカメラ店へ持ち込み、フィルムは現像されて写真になり、本体は解体、再生されてまた店に並ぶという仕組みでした。使い捨てではなく、立派な使い切りカメラだったわけです。

 さて、そろそろ話題を「コトバ」に合流させなければなりません。
 その昔、ある観光地で急に写真を撮ることになった Ash、でもそのときカメラは持っていません。思い浮かんだのが、コマーシャルでよく聞く使い切りカメラの名前でした。早速付近の土産物屋さんに行き、それを買おうとしたのですが、どうしても商品名では呼びたくない。撮れれば、写れば、なんでもいいのであって、そのメーカーの特定商品でなければならない理由はないのです。だから、商品名で名指ししたくなかったのです。マニュアル書きの哀しい性(さが)かもしれません。そこで店のおばちゃんに向かって、Ash は言いましたよ。
 「レンズ付きフィルム、ありますか?」
 …「レンズ付きフィルム」は、使い切りカメラの正しい一般名称だったのですが…。見事に、通じませんでしたね。

 テクニカルコミュニケーターがテクニカルに溺れ、コミュニケートできなかったお話でした。お粗末。

Posted at 12:15 | ◎コトバ再発見(エッセイ編) | この記事のURL | コメント(2) | トラックバック(0)

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コメント
やまさん
コメントありがとうございます。

法律用語は難しいところですね。厳密な定義が求められる世界。
わかりやすい言葉を使えば、定義が曖昧になってしまう。
日常語で言い換えれば、それが持つ別の意味に引きずられる......。

一方で、ニュースなどで聞く「批准」はなぜ批准と言わなければならないのか。
主語と目的語がはっきりしていれば、「承認」でも意味は充分、かつわかりやすいのではないか。
などの疑問も抱いています。
これについては、またエッセイでそのうち......。
Posted by:Ash  at 2008年08月27日(水) 10:03

テクニカルコミュニケーターがテクニカルに溺れ、コミュニケートできなかった・・・

他人事ではありませんな。自らを戒めなければなりませぬ。
正しく正確でありたいという「こだわり」が、かえって、わかりにくい発言を
生み出してしまうことがあります。 法律の用語などその典型でしょう。

気をつけます。                                やま
Posted by:やま  at 2008年08月25日(月) 12:04

プロフィール

マニュアル119番
「やま」と「Ash」に加え、新メンバーに「K.S」「コルレーニョ」を迎えて、「感動のコミュニケーション!」を探す新たな旅が始まりました。 深い深いことばの森へと続く道は長く、険しく、ときには寄り道も…。 読者の皆さまの声援に支えられて「マニュアル119番」は感動のコミュニケーションを目指します!
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