投稿者:Ash
移動販売の豆腐屋さんが、極低速で軽トラックを歩かせ(?)ながら、近所を回っています。やってくるのは、決まって土曜日の夕方です。いや、土曜日だけだということはないのでしょうが、わたしが家にいて豆腐屋さんの訪れを知るのが、土曜日だけなのです。
なぜ豆腐屋さんとわかるかといえば、いわゆる「豆腐屋さんのラッパ」を流しているからです。(録音を流しているのでしょう。まさか本当に吹いてはいません?よね?車を運転しながら!)
でも、私が豆腐屋さんのラッパの音を実際に聞いたのは、ここ東京にきてからのことです。西日本で3つの県に住みましたが、どこでもホンモノを聞いたことはありません。つまり、1)ラッパを鳴らして歩く 2)豆腐の 3)移動販売業の人 にお目にかかったのは、東京が初めてなのです。
いまも Web でちょっと調べてみましたが、ヒットするのは関東地方の記事ばかりです。
では、どうして東京にくる以前から、私に「豆腐屋さんのラッパ」という認識があったのでしょうか。
おそらくテレビドラマや、あの超長寿アニメーション番組内で(移動販売の描写とともに)使われているのを、記憶したものだと思います。「町の夕暮れ」を演出する効果のひとつなのでしょう。
それにしても、竿竹屋さんといい、焼き芋屋さんといい、某ウマ科動物のパン屋さんといい、移動販売は商品をことばで周囲に触れながら歩く、というのが定番と思います。しかし、ラッパの簡単な音階だけでちゃんと固定客を取り込んでいるあたり、テレビ媒体を利用してラッパのメッセージ性を高めた豆腐屋さんの販売戦略は、なかなかのものですね。(きっとそこまでしてないと思いますが。)
これも非言語メッセージ、というやつでしょうか。(きっと違うと思います。)
ところで、私が「豆腐屋さんのラッパ」として知っているラッパの音とは、音階でいえば「ソ〜 ラ♭〜 ソ〜」となります。
単純な音階ながら、真ん中のラ♭(フラット)に切り替わるところで、夕暮れの哀愁を感じさせます。
が。
うちの近所にやってくる豆腐屋さんときたら、「ソ〜 ラ〜 ソ〜」と、テレビでおなじみのものとはちょっとだけ違う音なのです。違いはちょっとだけでも、聞いた印象がまったく異なってしまうのは、和音のセオリーを持ち出すまでもありません。持ち出せといわれても持ち出せませんが…。
簡単にいえば、あの哀愁はどこへやら、なんだかあっけらかんとした印象のメロディです。それもそのはず。「ソ、ラ、ソ」は、あのかわいらしい曲「アマリリス」の始まりの3音と同じなのですから。
その音は「豆腐屋さんのラッパ」として自分の中に長く記憶しているメロディとせめぎあい、私の音感はこれにしきりと反発します。違う音なのだと流してくれればいいところを、同じ音なのに耳が変なのでは?という生理的な警告を発するのです。
豆腐屋さん、録音でなくもし本当に吹いていらっしゃるのでしたら、できればスタンダードなほうでお願いしたいんですが…。豆腐買いますから…。