投稿者:Ash
数年前、とあるケータイショップ(通信会社直営店)に、壊れたケータイを持ち込んだときのことです。
「これ洗濯機の中に落としちゃって。 データ取り出せなくても仕方ないとは思ってるけど、もしかして助かるものならと思って。 ちょっと見てくれますか」
データや本体が修復できるなんて期待はまったくしていなくて、別機種に買い換えるつもりで来店しています。
応対してくれたショップの店員はひとこと、「わかりました。」
サービス精神に満ちた力強い返事でしたが、こちらに余計な期待を持たせるものではありません。店員は私のケータイを持って奥へ引っ込んでいきました。
しばらくのち、さきほどの店員は私のケータイを手に、戻ってきました。機体はプラスチックの外皮が取り除かれ、基板が見えています。
この店員、基板の一部を指してじつに意外なことを言いました。
「これ、水に濡れたでしょ!? ここのところが色が変わるんで、すぐにわかるんですよ!」
さも得意げに、そう言うのです。私がケータイ水没の事実を隠し、保証目当てにクレームしたのを、自分はあばいてやったぞ、とでも言わんばかりの態度でした。(携帯電話の内部には、水濡れを感知すると色が変わるマーカーがあります。)
…と、この記事で店員のセリフのところまでは、水濡れについてひとことも書いていません。単に「洗濯機の中に落とした」と言っているだけです。
これは、「水没した」という説明には不十分でしょうか。お読みになった方はいかがでしたか。水没したと、初めから読み取れましたか。
「洗濯機の中に落とした」 「風呂の中に落とした」 「バケツに落とした」。私は、いずれも「水没した」ことを十分に示していると考えます。水の入っていない空のバケツならば、わざわざ「バケツに落とした」とは言わないからです。「目の高さから落とした」とか、「コンクリートの上に落とした」とか、そういう説明になるでしょう。
そう自分では理屈付けているのですが、いまでもときどき思い出しては、水濡れのことをはっきりと言わないのが悪かったのかなぁ、と思ったりします。あるいは、店員が客の話はテキトーに聞くのを習慣にしていただけなのか…。
ただこのときは、店員の言葉の意外さにびっくりしてしまい、とりあえず本体の買い替えは他店ですることにして店を後にした Ash でした。
納得できることも、コミュニケーションスキルのひとつだと思えます。
「説得力ない」と言われるよりも、
「オレを納得させてくれ」と言われるほうが、説得力を感じますね。