「お言葉ですが」
「いや、そうではなくて」
「だ・か・ら!」
相手の発言に対して、このように言い返すことはありませんか? 自分の立場や意見を守ろうとするとき、また相手に自分の主張を押し付けようとするときに、よく出てくるフレーズですよね。この言葉の背後に隠されている思いはどんなものでしょうか。
「あなたは事情を知らない・・・」
「あなたよりも私の方がよくわかっているのだから、口を挟まないで欲しい」
「私の言うとおりにしておけばいいんだ」
きっと、こんな思いではないでしょうか。
もしあなたが「私の方が正しい」と考えているのであれば、それは錯覚です。思い込み(暗黙の前提)というメンタルブロックがかかっている状態で、外部からの情報をシャットアウトしている状態です。とても危険な状態と言えます。私たちは、所詮は人間です。自分の考えには必ず盲点があることをつねに意識していなければなりません。
「自分は正しい」
「この考えは動かせない」
このような思い込みの思考パラダイムから抜け出して、
「自分では気がついていない点はないか」
「もっと良い方法を探そう」
「一緒に考えよう」
という新しい思考パラダイムにシフトすると、コミュニケーションはどのように変化するでしょうか。
思い込みの思考パラダイムは、主張のぶつけ合いによる「勝ち負け一本勝負」のコミュニケーションと言えます。自分の主張を通すことが目的となり、そのためには極端な自己防衛に走ったり、相手の揚げ足を取ったり、人格を攻撃したり、と相手の足を引っ張ることもあるでしょう。たいていの場合は、声の大きな人や立場の上の人が勝利を得ます。勝利者は益々勝利のためのコミュニケーションに まい進するようになり、人の話を聞かなくなっていきます。
新しい思考パラダイムでは、両者にとっての「新しい発見」または「もっと良い解決方法」に到達するためのコミュニケーションへと変化します。自分の主張も相手の主張も関係ありません。お互いに意見を出し合って共通の目的へと向かう、または共通の課題を解決する、そのようなコミュニケーションです。「競争から協力への変化」、と言えるでしょう。あなたは、相手が「望んでいる結果」を得るための協力者となり、相手はあなたが「望んでいる結果」を得るための協力者になります。
皆さんは、今までに色々な成功や失敗の経験をし、いろいろな実績をあげてきたことでしょう。また教育・勉学によって得た知識があります。ある分野では専門家と呼ばれ、周囲の方たちから尊敬されているかもしれません。このような過去の体験よって形成された現在の価値観があります。この価値観は、あなたの人生の集大成ですから否定する必要はありませんが、お取扱いには十分な注意が必要です。
私たちは新しいものに接したときに、この「価値観」と言う「枠組み」の中で判断する習慣があることを意識しておかなければなりません。私たちのこれまでの学習結果であり集大成である価値観は、「答えは自分の中にある」という錯覚を抱かせます。私たちから、新たな発見に対する好奇心を奪い、私たちの未来の可能性を制限しようと働きます。
思い込み(暗黙の前提)というメンタルブロックを解除しましょう。そして、コミュニケーションを通して今まで見えなかった「新しい可能性」の扉を開きましょう。視野を広げれば、答えは無限にあるでしょう。
この可能性の扉を開くための鍵を持っているのは、あなただけなのです。
やま