さらに、メンバーたちは、「やらされてる感」を持ちながら作業することになります。
「うまく人を巻き込む」ためのコツは、相手に「興味」や「関心」を持たせることです。相手の関心を誘って、「お?面白いな」「やってみたいな」と思わせるように働きかけると良いでしょう。人はどんなに頑張っても、興味のないことには積極的にはなれないものですから。
「興味」や「関心」とは、自分との関わりを意識できる事柄に対して生まれてきます。
自分との関わりとは、たとえば次のようなものです。
◎ 自分の利益につながる(金銭・物質)
◎ 自分の立場がよくなる(評価・評判)
◎ その対象そのものが面白い(仕事が面白い)
◎ 自分の成長につながる(成長・達成感)
◎ 自分の身近な人の利益につながる(役立ち)
動機付けとは「自分が良い気分になれるかどうか」ということに深い係わり合いがあります。あなたの部下は、どのようなときに「良い気分」になるでしょうか? もしそれを知らなければ、部下に対してうまく動機づけをすることはできないでしょう。
部下がどの領域で「良い気分になれる」のかを知った上で、目標達成が会社にとってどのようなメリットを提供するのか、そして部下にとって、それがどのような関わりを持つのかをしっかりと伝えることが大切です。
ここで「動機づけ」について、2つの有名な説をご紹介します。
●「自己実現理論(マズローの欲求段階説)」
アメリカ合衆国の心理学者であるアブラハム・マズローが提唱したもので、人間の基本的欲求を次の5段階に階層分けて説明しました。
1. 生理的欲求 :
衣食住など、人間が生きる上での根源的な欲求
2. 安全の欲求:
安全でありたいという欲求
3. 親和(所属愛)の欲求:
他人と関わりたい、人と同じでありたいという集団帰属の欲求
4. 自我(自尊)の欲求:
集団から価値ある存在と認められたい、尊敬されたいという欲求
5. 自己実現の欲求:
自分の能力を発揮し、創造的な活動や自己の成長を図りたいという欲求
下位の欲求が満たされると、人の欲求はひとつ上の階層へ移行するものという考えです。逆に言えば、下位の欲求が満たされないと、上の欲求を持つことができないということになります。
●「ハーズバーグの衛生理論」
ハーズバーグは、人が「満足する要因」と「不満を感じる要因」はそれぞれ別のものであるということを提唱しました。そして、「動機づけ要因」と「衛生要因」とに分類しています。
【動機づけ要因】
「満足する要因」が十分に満たされていると意欲が高まるが、不十分であっても不満にはならないもの。仕事の達成、達成の承認、仕事そのもの、責任、昇進、成長の可能性など。
【衛生要因】
「不満を感じる要因」が満たされていない場合は不満となるが、十分だからといって満足にはつながらないもの。会社の方針、管理制度、作業条件、対人関係、給与など。
積極的な動機づけにつながるのは、衛生要因ではなく、動機づけ要因であるという説です。
人が動機づけられる要因を知ることは、効果的に組織を運営することにおいて重要な役割を占めるでしょう。
部下を動かすためには、上の立場から人に指示命令をする(やらせる)方法と、動機づけして主体的な行動を促す(やる気にさせる)方法がありますが、即効性があるのは前者であることは間違いありません。後者は結果が出るまで時間がかかります。上司の忍耐が必要になります。なかなか思い通りにいかず、思わずあきらめたくなるかもしれません。
しかし、会社が目標を達成するために、
・学びながら継続的に成長する
・メンバーが当事者として主体性を持って行動する
・変化を敏感に察知して行動を変えることのできる
このような組織を目指すならば、後者を選択するべきではないでしょうか。
やま