「工場では機械がほとんど稼動していない」「高価なシステムを導入したのに活用できていない」。このような状態は、投資に対して効果が低い状態といえます。
企業が人を雇うのも、組織が定めた目標=ゴールに到達するためでしょう。その目的を達成するために人材は活かされなければなりません。人に対する投資効果も無視はできないのです。
問題は「どのように活かすか」です。
前回の記事で、「細かい指示を出し続けると部下の思考停止を招く」と書きました。思考停止状態では、まず当事者意識がなくなります。問題意識もなくなり、主体的に行動することができなくなります。失敗を自分の責任と認めることもできません。自分で創意工夫をしなくても、指示されたことを盲目的にこなせばよいのですから、社員にとっては楽な状態でしょう。
この状態で、「人が活かされている」といえるでしょうか? 人材というリソースの機能は十分に活かされているとはいえません。
誰だって投資した以上にリターンを得ようとします。固定費である人材を活かそうとしない経営者はいないでしょう。
問題は「どのように活かすか」です。
ここで、ズームアウトして(一歩ひいて)考えてみましょう。人材が活かされている状態とはどのような状態でしょうか? 人によって解釈は異なるでしょうが、考えてみましょう。
◎ 社員がアイドリングなく働いている状態
というような意見を聞いたことがあります。
誰一人、遊んでいない状態です。皆が忙しそうに何か作業をしていることが、人が活かされている状態なのでしょうか?
トヨタでは、「働く」と「動く」を明確に区別しています。人が動いて、価値を生むことを「働く」とし、価値を生まないものは全て「ムダ」と定義しています。つまり、忙しく何か作業をしていても、その活動が価値を生まなければ、単に「動いている」だけとなります。陸上競技にたとえると、コースアウトした状態といえるでしょうか。どれだけ努力しても、どれだけ早く走っても記録にはなりません。失格です。
この点を踏まえて定義づけすると、「定めた目標に向かってムダなく活動すること」といえるでしょう。逆に、目標に向かっていない動きは、経営リソースの「ムダ使い」といえます。
もっと言えば、たとえ社員全員がイキイキと働いていても、会社の目標に向かっていなければ、その会社は社員を活かしているとはいえません。
もう少し踏み込んでみましょう。
陸上競技ではコースアウトすれば失格と判断されますが、ビジネスの世界では「定めた目標に向かって活動しているか否か」はどうやって判断すればよいのでしょうか?それは、誰が判断するのでしょうか?
つづきは次回に持ち越します。
やま