◎ 自分は部下よりも作業のスピードも速いし知識も経験も豊富だ
◎ 部下に任せておくと(自分が目を離すと)品質・納期・コストに問題が出る
◎ 自分が指示をしなければ部下は何も考えられない(言わなければ何もしない)
半分正解・半分間違い、といったところでしょうか。このような考えが強い上司は、行動に現れているのですぐにわかります。常にあれこれ口を出し、部下に細かい方法まで指示を出すのです。全てを自分の好みに仕上げないと気がすまない人もいます。場合によっては、部下に任せていられず自分でやってしまう上司もいます。私自身もそうでした。確かに、自分がやったほうが早いし間違いも少ないでしょう。何より、自分の好みに仕上がります。
上司は多くの場合、幾多の経験を通じて「答えの導き方」を知っています。ですから、ついつい「こうやって、こうすればいいんだ。」と指示を出してしまいがちです。
そうすると何が起こるでしょうか。
◎ 常に指示がある状態が続くと「指示待ち社員」が育つ
◎ 指示者の思考や能力の限界が組織の限界になる
◎ 問題意識・当事者意識を持った社員が育たない
このことは、『
【第10回】〜会社組織とコミュニケーション(内的動機付け)』の記事でも書いていますので、ご参考になさってください。
マネジャーやリーダーの仕事は、組織が目標=ゴールに到達することです。しかし、自分だけの知恵や力では到達することはできません。到達できたとすると目標の設定が低かったと考えられます。目標達成のための手段として、自分の受け持つリソース(ひと、物、お金、情報)をフルに活用しなければならないはずです。最も重要なリソースは人材です。機械はスペック以上の能力を発揮することはできませんが、人の場合は潜在的な力が未知数です。成長もすれば、生まれ変わったかのように頭角を現すこともあります。さらに、集団になると、シナジー効果を発揮し、1+1が10にも20にもなる可能性もあります。逆にやる気がなければパフォーマンスは急激に低下します。
このような「可能性の宝庫」であるメンバーの力にフタをして、上司の思考の限界を組織の限界にしてしまうことは、大変もったいないことだと思いませんか?
上司の指示通りに行動して失敗した場合、部下はどう考えるでしょうか? きっと、「言われたとおりにやった。自分には責任がない」と考えるでしょう。そして、上司に新たな指示を求めます。上司は、部下の応用力のなさにイライラしながら、細かい指示を出し続けることになります。そして「最近の若い者は言われたことしかしない」と愚痴るのです。しかし、その原因を作ったのは本人だということに気がつきません。
さて、このように考えるとわかりやすいでしょう。
車を運転して、ある目的地に向かうことをイメージしてみてください。初めて行く場所です。
地図を広げ、自分で考えながら目的地にたどり着いた人。助手席の人に「そこを右、次の信号を左」と目的地まで案内をしてもらいながら運転した人。前者と後者では大きな違いがあります。前者よりも後者のほうが早く目的地にたどり着くかもしれません。
◎ 道に迷ったときに反省するのはどちらの運転手ですか?
◎ 失敗を反省して次は失敗しないように考えるのはどちらの運転手ですか?
◎ 次回に一人で目的地にたどり着けるのはどちらの運転手ですか?
助手席の人の案内に従って運転していた人は、道に迷ったとしても「指示した人が間違えたのだから」と考えるでしょう。自分に責任があるとは思わないのが普通です。道を覚えようと真剣になることもないでしょう。このような状態では、問題意識・当事者意識を持つことは難しいのです。
上司と部下の間でも、これと同じことが発生します。細かい「手段」について指示を出し続けることは部下の思考を停止させてしまいます。
このことについては、次回にも、もう少し掘り下げていきたいと思います。
やま