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「マニュアル119番」ブログへようこそ。
このブログは、製品マニュアル制作の豊富な経験を持つプロのテクニカルライターが、
文書やコミュニケーションについて、あれこれ語ってしまおうという、
お役立ちブログです。

目的と目標  2010年12月27日(月)

投稿者:Ash

 「目的と目標」。一見、似たようなことばに見えます。日常の会話では、混同して使ってもさほど支障がない場合も多いです。でも、ビジネス的にも、プライベートでの自己管理的にも、ちゃんと意味を分けて使うほうがいいですね。きたる2011年の目標をあれこれと考えている人も多いでしょう。ここはひとつ、目的と目標の正しい理解をしておきましょう。

 というわけで、よく使われるビジネス訓話を引用します。

 三人の石工が、石を削っていた。通りがかった侍が「なにをやっているのか」と三人に尋ねた。
 一番目の石工は、「見てわからんかね。石を削っているんで」と答えた。
 二番目の石工は、「おまんまを稼いでいるのさ。これが俺の仕事なんでね」。
 三番目の石工は、訊かれると顔を輝かせてこう答えた。
 「ここにお城が建つんだよ。おれはその石垣に使う石を削ってるのさ。おれはいま、末代まで残る仕事をしてるんだ」

 ここで普通は、次のような解説が入ります。

 三人の目標は、同じである。石切り場から運ばれてきた石を、石垣に組める形に加工することである。しかし、三人の目的は異なる。一番目の石工には目的はなく、石を削るのは石が来るから。石が来なくなったら、その日は帰ってしまう。二番目の石工は、生活費を稼ぐという目的で働いている。石が来るのが途切れたら、そこらの片付けとか石運びの手伝いなどをして、その日の賃金が下がらないようにする。三番目の石工の目的は、立派な城が建つこと、自分がそれに貢献する満足を得ることである。自分で見出した価値観を持つ者は強い…。

 目的と目標の違い、だいたいよろしいでしょうか。きらきら光る星が目的、星へと続く階段の一段一段が目標、というわけですね。
 ところがとても惜しいことに、たいていの説明が、ここまでで終わっています。
 違うんです。話は最後まで聞かなくちゃ。多くの人が知らない、この話の続きを紹介します。

 侍が三人の元を離れると、一番目の石工はすぐに侍のあとをつけ始めた。適当な場所にさしかかったところで、石工は侍に襲いかかり、侍は手もなくやられた。石工は遺骸を谷へ落としてこう言った。「やつが敵領の間者だろうがただの詮索好きだろうが、俺が殿に御仕えし御命をお守りするという大儀の前には関係がない」
 同じころ、二番目の石工は、三番目の石工の亡骸を始末していた。城が建つ話自体は、ありふれた公然の秘密かもしれない。しかし、石工や人夫の頭数を数えれば、城の規模や工期が推測できる。部材の置き場を見ていけば、城の構造がわかる。どんなに小さな、どんなに一般的な話と思っても、職務上知り得た情報には一定の注意を払うべきなのである。どこの馬の骨ともわからぬ他人になんでも軽々しく口走ってしまう人間は、この先どんな機密をもらさないとも限らない。危機管理は早めの手当てがいいのだ。「悪く思うな。これが俺の仕事なんでね」

 命を落としてしまった二人はなにがいけなかったのでしょうか。目標が先走り、目的に正しく適っていなかったのかもしれません。また、目的の捉えかたが曖昧になってしまい、正しい行動につながっていなかったのかもしれません。
 いずれにせよ、人はどのような目的を秘めてその時々を生きているのか、じつは誰にもわからない。人を安易に判断するのは禁物、ということですね。

 では、きたる2011年も、目的に正しく沿った目標をもって、いい一年にいたしましょう。

Posted at 12:06 | ◎コミュニケーションは難しい! | この記事のURL | コメント(0)
電車内アナウンス  2010年12月09日(木)

投稿者:ME

私、ここ数か月は電車に乗ることが多いです。広島のJRだけではなく、ほかの地域の私鉄や地下鉄に乗る機会もあります。そこで気になったのが車内アナウンスです。地元の民じゃない場合、左右どちらのドアが開くかをアナウンスしてもらえて助かるわ〜とか、次の停車駅だけでなく、二駅先まで言ってもらえてうれしいわ〜とか。

昨今は、ほとんどの人がイヤホンを着けてケータイや端末を操作しています。ゲームなのでしょうか?車内アナウンスでは「優先座席付近では、携帯電話の電源を切るかマナーモードにして、通話は遠慮してください」…どこの鉄道会社もそのような意味のことをアナウンスしていますけど…これは確かペースメーカーの誤作動に配慮した対策だったと思います。でも、ペースメーカーを装着している方が必ず優先座席付近に向かうとも思えません。電子書籍端末元年として本も端末化している時代に、そろそろ考えないといけない時期ではないでしょうかねぇ。

もうひとつは席を譲りましょうアナウンスについて。
 ・ご高齢の方
 ・お身体が不自由な方
 ・妊娠している方
 ・小さなお子さま連れのお客さま
上記の方がいらっしゃったら、席を譲りましょう…というアナウンスが一般的です。私が「おぉ!」っと唸ったのは、3番めと4番めを端折ったアナウンスでした。
 ・赤ちゃんがいらっしゃるお客さま
おなかで育てていても、抱っこしていてもベビーカーで一緒に乗車していても、これならば、というコトバ!

以下は余談です。私がマニュアル業界に入った頃、ある注意項目に「妊婦」と言い切ってあるのを発見したのです。妊婦は妊婦なのでしょうが、「妊娠している人」という表現のほうがよいのでは?と感じたものでした。丁寧すぎても「慇懃無礼」と嫌われますが、聞く人、読む人が受ける印象って大切ですよね。

Posted at 08:51 | ◎コトバ再発見(エッセイ編) | この記事のURL | コメント(0)
数値化のイミ  2010年11月01日(月)

投稿者:ME

「数値を使って具体的に書く」!これは、テクニカルライティングの鉄則です。あいまいなコトバを使うと、読み手によって解釈に差が出てしまうから…たとえば、「かなり」、「数〜」「少しだけ」などです。これはバイブル(日本語スタイルガイド)にも、ちゃんと明記されています。「しばらく」もそうですね。

では、これはいかがでしょうか。スーパーマーケットで見かけた貼り紙です。

画像でもそうですが、ほかの日に見かけたときも、たいてい「19段」積み上げてあるのです。一応、注意文は守られているわけです。数えた私はヒマだったのでしょう。

バリアフリーに配慮した好例だとは思います。ただ、ココでの数値化はどうなのでしょうか。「これ以上高くしないで」というボーダーラインを示したほうが、わかりやすくないですか?数えるお客さんっていますかね?(いましたが…私のことです!)それに、よく見かける斜めに置かれたカゴ…そんな状態だと、20段に満たなくても十分迷惑な話でしょう。

もっと言わせていただければ、この場所の半径3m以内に、カゴ置き場は4か所存在するのです。車椅子じゃない方は、エレベーター横などのごくごく一般的な置き場所を利用されては?便利なのでつい置いてしまうのでしょうか…少し脱線気味ですが、そうお感じになりませんか?

グレーのカゴは数えにくかったですよ〜テクニカルライティングでの常識は、一般社会の常識にあらず。そんなことも多々あります。
Posted at 12:01 | ◎コトバ再発見(エッセイ編) | この記事のURL | コメント(0)
ごはんが進むあなたへ  2010年09月30日(木)

投稿者:Ash

 唐突ですが、私、「ごはん」が嫌いでしてね。ごはんって、そう、米を炊いて茶碗に盛り付けた、あの“主食”のことです。

 いや、いきなり「嫌い」などと言うと角が立つというものですが、いま言っているのは単に「好き」か「嫌い」か、ゼロイチに分けたときにどちらに入るか、という話です。べつに米が憎いわけでも、米を食べるのは間違っとる!なんてことでもありません。あなたにも、嫌いな食べ物のひとつくらいはあるでしょう? 私は炊いた白米がそれほど好きではないんです。

 こんなこと、いままであまり人に話したことはありません。ことさら声高に嫌いを主張しないと、どうしても食べさせられてしまう、そんなシチュエーションはほとんどないからでしょうね。たいていの場合「今日はちょっと入らないから」で済みます。というわけで、わざわざ明かす必要もメリットもないのです。

 これに対してデメリット、「ごはんが嫌い」を主張するデメリットは確実に存在し、しかも決して小さくはありません。何度かこれを体験しており、日本の社会生活のうえでリスクとさえ感じます。つまり;
  ■理解してもらえない。「そいでもお腹すくから一杯だけ食べなさい」(←実家では何度言ってもこう)
  ■なじられる。「日本人なら米食わにゃ!」(以下倫理カット)(←某上司など…)
  ■叱られる。「農家の人たちが心をこめて作るのになんてことを」(←いやたいていの食物は人の手と心がこもっていますから)

 まあ、上記は半分以上冗談ですが、基本的にこのような思考経路はごく一般的のようです。私にしてみれば、決して農家の方々のご苦労を軽んじるものではなく、日本の米食文化を否定するものでもないのですが…。40代まで疑いもせずに米を主食にしていたことも事実ですし、でも、米食をやめてみて身体が軽くなったことに気づいたのも事実ではあります。※個人の感想です。

 さて、ここまで読まれて「ごはんが嫌い」がいっこうに理解できないあなた。たぶん、ほぼ、正常です。だって、三度の食事はいつもあんなにおいしいのだもの。はい、そのとおりですね。和食はもちろんのこと、洋食にもよく合います。漬物2〜3切れでさっぱりといただくのもいいし、カレーのようにこってりと載せても相性がいい。牛どん屋さんなどご飯ものの外食店は、安くて早くてそこそこにおいしいと人気ですし、飲みのあとの締めのお茶漬けは文句なしにうまい。トッピングは佃煮、ふりかけ、卵、なんでもいけます。それに忘れてはいけないのが、寿司。にぎりはもちろんですが、ちらしや巻き寿司も捨てがたい。納豆巻きなんて海苔の風味と納豆の香りのコラボが絶妙ですよね。
 そう。あなたも私も、ごはん大好き…

 本当にそうなんでしょうか。
 茶碗に盛られた一膳のごはん。なにも添えないまま一口はこび、噛み、アミラーゼがデンプンを分解する糖の甘さを味わい、飲み込む。次の一口もなにもつけず、よく噛み、消化酵素をさらに口全体にいきわたらせながら、飲み込む。そして次の一口も…。
 お茶碗が空になるまで、あなたは飽きずに、毎食、これを繰り返せますか。もしそうだとしたら、あなたは本当にごはんが大好きな方なんですねえ。すばらしいことだと思いますよ。
 いや、やっぱりなんか塩気とか汁気とか、味がついたものと一緒に食べないとね… まあ、よほどのごはん好きでないかぎり、普通はこんなところではないでしょうか。ごはんが好きと言っても、それはごはんと一緒に食べるおかずの味付けを楽しんでいるのであって、それらに味が薄くて舌触りのここちよい白飯を絡めると、おいしく感じるということでしょう。そして、それを証明するかのような慣用句が日本語にはあります。それは…

「ごはんが進む」

 味の濃い、甘辛いおかずなどがよくこう呼ばれて喜ばれますね。これって裏返せば、そのような味付けがないと、ごはんだけでは食べにくい。そういうことなのです。

 あなたは、ごはんがお好きでしょうか?

Posted at 12:23 | ◎コトバ再発見(エッセイ編) | この記事のURL | コメント(0)
4にまつわるエトセトラ  2010年09月27日(月)

投稿者:ME

「マニュアル119番」をリンク集に入れてくださっている「@ランダム」Triple Questionさんの記事「デジタル時計の怪」を読み、この画像を引っ張り出してみました。4のゾロ目です。本当は4:44に撮影したかったところですが、2:00ちょうどなのもなかなかです。


4といえば、嫌われ者の数字です。「死」を連想させるから…みたいですね。でも違う解釈もあるんですよ。京都勤務時代に教えてもらった話を紹介します。おそらく有名な話だとは思いますが。

京都の有名なタクシー会社。行灯とドアに三つ葉のクローバーがデザインされています。だけど、1,400台に4台、四つ葉のクローバーのクルマがあるのだそうです。幸運のシンボルなのだとか。絶対に見たい!と、出かけるときにはタクシーばかり見ていた気がします。

そして、ついに発見したんです。四つ葉タクシー。携帯電話のカメラで撮影したのですが、機種変更してしまい、画像を再現できないのが残念です。感動しました。それはナゼか?

その日は4月4日、私…MEの誕生日だったのです。そんな日に幸運を呼ぶ四つ葉タクシーに遭遇するなんて!Triple Questionさんが書かれている通り、意識過剰なのでしょうが…嬉しいものはしかたないです。ラッキーが舞い込むような錯覚に陥りました。4は「幸せ」の「し」、幸運を意味する四つ葉のクローバー、私だけでもそう考えていたいなぁ、と。妄想気味の感動バナシでした。

Posted at 17:54 | ◎コトバ再発見(エッセイ編) | この記事のURL | コメント(2)
「シンポジウム」って?  2010年09月16日(木)

投稿者:ME

シンポジウムの意味や語源をご存じですか?先日、あるところでそのことに触れている本を発見しました。この場でご紹介しますね。

シンポジウムとは、講演会や研修のように講師がひとりではなく、数名のパネラー(パネリストとも言う)が座談形式で意見を交わしたり、聴衆の質問に答えたりするものです。でも、シンポジウムの語源となっているギリシャ語の「シンポジオン(symposion)」は、現代におけるシンポジウムとはまったく違う意味だったそうなのです。

ギリシャ語の「シンポジオン(symposion)」とは「ともに飲むこと」を意味し、酒宴や饗宴の際のついでに(?)楽しく座談をすることだったのだそう。つまり食べたり飲んだりが「主」、討論は「従」というわけで、曲芸や舞踏などのショーを楽しんでいたそうです。なるほど…楽しそうです。私は古代シンポジオンに強く惹かれてしまいました。

「従」である討論の内容も、なにしろお酒の席でのことなので、恋愛などが格好のテーマだったとか。学術的でお堅いものは皆無だったそうです。おもしろいと思われませんか?もっとお知りになりたい方はプラトン(哲学の大御所ですよね)や、クセノフォン(著名な文筆家だそう)が著した『シンポジオン』と題した書物があるそうです。私もちょっと読んでみたいなぁ、と思いました。

さて、マニュアル制作業界の方にはおなじみだと思われる「テクニカルコミュニケーションシンポジウム(TCシンポジウム)」。8月の東京開催は盛況だったそうです。10月7日&10月8日には、京都でも開催されます。学術的で興味深いテーマでのセッションを中心に、ついでとして酒宴(交流会と呼ばれています)もありますよ。ぜひぜひお出ましを。

http://www.jtca.org/symposium/index.html

Posted at 12:44 | ◎コトバ再発見(エッセイ編) | この記事のURL | コメント(0)
表意文字に惑わされ…  2010年09月08日(水)

投稿者:ME

早朝の私鉄にて」で少し触れました。文字をカタチで判断しないようにしましょう…ということです。そんなエラソーなことを堂々と書いていながら、またやっちゃった!というエピソードを下記に。

わが家のダイニングテーブルは…あまり片付いていません。すぐに使いそうなものはテーブルの上に放置しています。薬やサプリメントなどは、容器に入れてはいるものの、ちゃんと収納していないですね。そのまま置きっぱなし…多々あります。そして、私は長い間、「肩甲挙筋」の損傷で苦しんでいました。だからなのか、これを見たとき、てっきり「首」用の薬だと思い込んでしまったのです。

見たことないなぁ、でも「首」って書いてあるけど、なんだろう?内服薬にしては厚みがあるし、外用薬(湿布類)にしては小さい…塗り薬のチューブだったかな?と手に取ったところ:

「具」だったんです。インスタントお味噌汁の「具」。まったく笑えませんでした。それ以降、テーブルの上はきちんと片付けるよう努力しています!

【余談】 象形文字、表意文字、表語文字、表音文字…難しいですね。「具」はとにかく「首」は象形文字に由来する(?)表意文字とのことだったので、このタイトルにしてみました。あまり考えたことがなかったので、新鮮な気持ちです。

Posted at 12:13 | ◎コトバ再発見(エッセイ編) | この記事のURL | コメント(2)
わかりにくくなくなくない?  2010年08月18日(水)

投稿者:Ash

 とても読みにくいと思いますが、次の文をさらっと読んでいただけますか。

●●●●●●の禁止を決めた○○○州の住民投票提案が憲法に違反するかどうかをめぐる裁判で、○○○市の○○○連邦高裁は16日、●●●●●●の再開差し止めを命じる仮処分を言い渡した。
この裁判では、○○○○○○○○○と定めた同州の「○○○提案○号」が争点となっている。連邦地裁は4日の判決で同提案を違憲と認定し、12日には判決の執行停止措置を解除して●●●●●●にゴーサインを出していた。これにより、18日にも●●●●●●が再開される見通しとなっていた。
しかし連邦高裁の決定により、同高裁で審理を行う間は同州での●●●●●●再開は差し止められる。審理は日程を早め、口頭弁論を○月○日の週に開くと定めた。判決が出るのは来年になる見通しだが、裁判は連邦最高裁まで持ち越される公算が大きい。
○○○州では州の裁判所の判断により●●●●●●が認められていたが、○年○月の住民投票で、○○○○○○○○○と定めた○○○提案○号が賛成多数で可決された。これに対し、●●●●●●を支持する側が同提案は憲法に違反するなどと主張して連邦裁判所に提訴している。

 どうでしょうか。非常に読みにくくはありませんか。
 これは、最近のあるニュース記事を元に、怪しくも伏字だらけに書き直してみたものです。ニュース記事にはつきものの「大見出し」も省略しています。しかし、理解しにくいのはそれらのせいだけではありません。文全体にちりばめられたいくつものことばで、論点の表裏が何度も翻され、誰の主張が、いままではどうで、このたびどうなったのかなどが、非常にわかりにくくなっているのです。

 つまり…
 「の禁止を決めた」「に違反する」「の再開」「差し止めを命じる」「を違憲と認定」「の執行停止措置」「を解除して」「にゴーサインを出し」「が再開される」「しかし」「が認められていたが」「の賛成多数で可決された」「これに対し」「を支持する」「に違反する」等々…
 読み手はこれらのことばに出会うたびに、その前までの主旨を覆したり支持したり、また覆したりして、全体の文意をつかもうとします。それを、数秒しかもたないとされている短期メモリーの中でころころと入れ替えて考えるわけですから、トピックそのものに慣れていなかったり、興味や背景知識がなかったりすると、もうなにがなんやら…。伏字にして何の話題なのかわからなくしたのは、その疑似体験をしていただきたかったからです。

 これで思い出したのが、一部の人たちが冗談めかして使っている(?)「○○じゃなく、なくなくない?」という表現。
 電車の中などで他人のおしゃべりを聞くともなく聞いていると、たまにこの「なくなくない?」が登場します。もし直接の会話の相手にこれを使われたとしたら、私はとたんに思考停止することでしょう。否定文でついていけるのは二重否定まで。ひとセリフの中でそれ以上ひっくり返されると、頭が追いつかなくなるのです。聞きなれないうちは「語尾上げ」されるだけでも思考停止していたくらいですから。

 さて、脱線してしまいました。
 先の文ですが、いくらニュース記事の体裁に基づいている文とはいえ、いくら事実を並べたに過ぎない文とはいえ、これでは読みにくい。

 そこでリライト!(魚柄仁之助調)
 情報を少しでも理解しやすくする、本業に近いことをたまにはやってみましょう。 …え? 本業ってなにって?

○○○の○○○連邦高裁は16日、●●●●●●は認めない旨の仮処分を言い渡した。この裁判では「○○○○○○○○○」と定めた○○○州の「○○○提案」が争点となっている。
○○○州では、州の裁判所の判断により●●●●●●が認められていた。しかし、2008年11月の住民投票で「○○○○○○○○○」とする「○○○提案」が賛成多数で可決された。これに対し、●●●●●●を支持する側は「○○○提案」は憲法に違反するなどと主張して連邦裁判所に提訴した。
連邦地裁は4日の判決で「○○○提案」を違憲と認定し、12日には州の裁判所の判断を支持して●●●●●●容認の姿勢を示した。これにより、18日にも●●●●●●が再開される見通しとなっていた。
しかし、連邦高裁の決定は次のとおりだった。
  ・連邦高裁が判決を出すまで、同州での●●●●●●は認められない
  ・審理は日程を早め、口頭弁論を12月6日の週に開く
判決が出るのは来年になる見通しだが、裁判は連邦最高裁まで持ち越される公算が大きい。この決定により、●●●●●●の再開は先送りとなった。

 少しはわかりやすくなったと感じていただくとよいのですが。 このリライトで意識したポイントは;
  ・一文中での二転三転をできるだけ削り、一文一意に近づける
  ・接続詞を使ってストーリーの運びを助ける
  ・主語と動詞をしっかりと対応させる
  ・裁判用語的に正しいことよりも身近な表現を優先して使い、同じ結果には同じことばを使う
  ・個々の文を時系列に並べ替えて理解しやすくする
…などでしょうか。よく見れば、マニュアルライティングのポイントとそう違ってはおりませぬ。ご参考いただければ幸いです。

 たまにまともなライターを装うと、疲れます…。

Posted at 12:35 | ◎やさしく解説!テクニカルライティングの基礎知識 | この記事のURL | コメント(0)
褒めらるるも胸中…  2010年07月23日(金)

投稿者:Ash

 褒め方にご注意…というのが今回のお話です。
 といっても、コーチングやリーダーシップの話ではありません。あくまでも日常のコミュニケーションのお話。

 ある職人さんが、苦笑いしながら話してくれました。
「お客さんに作品を『巧いですね〜』って褒められちゃったんだよ」

 この人は、自分で手工芸品を製作しながら、作品をお店で販売しています。お客の注文にも応じます。上のセリフは、注文品を受け取りにきたあるお客が、仕上がった作品を見て発したことばなのだそうです。
 ところが職人さん本人は、ちょっとだけ面白くない。仕事を褒めていただけるのは、それはありがたいことです。でも、職人相手に「巧い」はどうなのだろう、と。

 ことばは多くありませんでしたが、その職人さんの言うことはよくわかります。巧いからプロとしてやっているんです。その技術は、一般の人から見えるような延長上のものではありません。はるか遠く、もしかしたらほとんど手の届く可能性のない世界かもしれないのです。素人が「巧い」のひとことでは表現できないほど、その世界は奥深いのです。

 でも、「巧い」と褒めてしまう気持ちも、同時によくわかるんです。いわゆる“上から目線”の評価や皮肉の気持ちなどはかけらもなかったことでしょう。作品の仕上がりを見て感極まり、思わず言ってしまった。それ以外のことばが出なかったのでしょう。

 もちろんこの職人さんは、「巧いですね〜」に対して心から「ありがとうございます」と応じたそうです。気にされたのは、単純にことばの使い方の問題でした。

 Ash 思うに、プロを褒めるときは、自分の喜びを表現する。これに尽きます。
 うれしい、これが私のものに?、会えてうれしい、見ることができて幸せだ、来てよかった、お願いして間違いなかった… 等々。
 するとそう言われるプロのほうも、ここまで喜んでもらえてうれしい、これなら多少採算を度外視してもやりたい、このお客さまにまた喜んで欲しい、となるわけですね。

 ちなみに、お子さんが描かれた絵などを褒めるときはこんなこと気にしなくていいですね。親として褒めたい気持ちを、そのままぶつければよいかと思います。
「巧い」と褒めれば、その気になってますます絵に励み、将来は芸術か職人の道へ。「ママをきれいに描いてくれてとってもうれしい」と褒めれば、コスメアドバイザーや精神科医の道へ。なにがきっかけになったって、本人が踏み出せばその一足が道となるんです。

Posted at 12:31 | ◎コミュニケーションは難しい! | この記事のURL | コメント(0)
オハナシスル  2010年07月20日(火)

投稿者:ME

Ashさんの記事、「丁寧でもなんでもない」を読んで、大いに焦りました。私の懸案事項をまとめなくちゃ!と。ただ、確固とした意見がなかったため、なかなか記事にできなかったのです。そのコトバとは…

お話する
お話しする

この問題です。「し」が要るのかどうなのか、いつも疑問に感じながら、流されるように適当にやり過ごしてきました。マニュアルライティングでは出現しないので、ビジネスメールのシーンでふと手が止まることが多かったように思います。たとえば…

ご都合がよろしければ、来週にでも一度オハナシしたいのですが。

名詞+する&動詞の連用形___検定対策で勉強したので、わかってはいるつもりです。だけど迷います。「話」という名詞、「話す」という動詞がある、ほかのコトバを考えてみました。「光」と「光る」や「志」と「志す」などが思い浮かびましたが、「お〜する」の表現は使いません。

複数のサイトを訪問してみて、文法の解説などを読んでみました。どうやら「お話しする」が優勢のようです。ただ私と同様に迷っていらっしゃる方たちが、窮余の策として「『を』を入れて逃げては?」と言われているのです。ドキっ!やはり「逃げ」だったのですね。私は、動詞の連用形かもしれないのに、無理やり名詞と位置づけて「お話したいのですが」と逃げていました。

そこでAshさんの記事です。悩みが深くなっちゃいました。どうしましょう。私の乱暴な意見を許していただければ、この件に関しては、正しい正しくないはどうでもいいのです。「」を入れて逃げるのが一番ラクです。この際、文法は忘れたい。

『行う』を使わない文章を書きませんか?」の投稿者なのに、矛盾していますね。でも、「オハナシスル」は例外とさせてください。迷いたくないので「」を入れる逃避法を使います…

Posted at 12:26 | ◎あなたの日本語、間違ってます! | この記事のURL | コメント(0)
プロフィール

マニュアル119番
「やま」「ME」「Ash」に加え、新メンバーに「K.S」「コルレーニョ」を迎えて、「感動のコミュニケーション!」を探す新たな旅が始まりました。 深い深いことばの森へと続く道は長く、険しく、ときには寄り道も…。 読者の皆さまの声援に支えられて「マニュアル119番」は感動のコミュニケーションを目指します!
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