「世界一料金が高い」と言われてきた日本の高速道路。しかし、政権公約に「無料化」を掲げた民主党政権が誕生したことで、来年度から、一部の高速道路で実験的に無料化が始まる見通しとなった。高速道路無料化の是非を探った。
◆ETC割引◆
先月17日の土曜日。関越道下り線・高坂サービスエリア(埼玉県東松山市)は、午前8時を過ぎると駐車場の約8割が車で埋まった。
今年3月、ETC(自動料金収受システム)の装着車を対象に地方区間で土日、祝日の利用料を1000円にする割引制度が始まったが、サービスエリアの職員は「以前は土曜の朝と日曜の夕方だけだったが、今は週末、祝日は終日、混雑するようになった」と話す。
群馬県に家族旅行に行く途中という神奈川県藤沢市の男性会社員(42)は「日本の高速は高すぎる。ETC割引は家計も助かるし、無料化になれば、なおありがたい」と話した。
◆世界一◆
日本の高速料金は世界でも突出している。
米国や英国は原則無料。ドイツも原則無料だが、トラックなど一部車種だけ有料。イタリアは平地部と山地部で料金を変えているが1キロ当たり7〜8円台。フランスも10円に満たない。
ところが、日本は全国一律で、150円の料金所利用料に1キロ当たり原則24・6円を加算する。海外が高速道路を税金で建設しているのに対し、日本は利用者の利用料でまかない、収益性の高い路線の収入を他の路線の建設費に回す「プール制」をとっているためだ。
◆影響◆
高速道路無料化の影響は様々だ。
国土交通省は、〈1〉走行時間の短縮〈2〉走行経費の減少〈3〉交通事故の減少――の3要素を金額に換算し、無料化による経済効果を、年間2・7兆円と試算する。
一方、乗客を奪われる公共交通機関の危機感は強い。JR各社は先月30日、「無料化されれば年間約750億円の減収になり、廃止される路線も出てくる」として、前原国交相に無料化見送りを求めた。
フェリー業界でも、ETC割引の導入後、瀬戸内海の5航路が休止や廃止に追い込まれた。
バス業界では、国内大手の西日本鉄道(福岡)が9月、31路線の計約140便を減便。同社は「高速バスの収入を赤字路線の維持に回しており、無料化で収入が落ち込めば一般路線が維持できなくなる」と話す。
◆実験◆
国交省は来年度予算の概算要求に、無料化に向けた社会実験費用として6000億円を計上。特定区間を定めて無料化する方針を示している。
だが、西日本高速道路の石田孝会長は「無料化するなら、公平の原則から全国一律で実行してほしい」と表明。別の高速道路会社幹部も「一斉に無料化し、渋滞する区間だけ有料にする考え方もある」と話した。
根本敏則・一橋大教授(交通経済学)は「無料化のための税金投入は既存の公共交通とのバランスを著しく損なう上、高速を使わない人にも負担を強いるという点で不公平感が強い。全国一律の無料化には反対」と話している。
高速無料化による鉄道会社・バス会社の収入減は避けられない状況です。
収入減となれば、鉄道会社やバス会社は、地方路線の廃止を検討せざるを得なくなります。
路線廃止は、高校生や高齢者など車の運転ができない人たち(特に高校生は不可能)にとって、死活問題です。
高速無料化は、大変な愚策であり、私は断固として反対します。