ヤフー、グーグルとの提携に活路

2008年06月30日(月)

今日は米ヤフーと米グーグルの提携で注目される日本のヤフーに関する記事が掲載された6月16日の日経産業新聞のコラムを紹介したいと思います。


当面は影響少ない見通し


米ヤフーと米グーグルが決めたネット広告事業での提携は、当面は米国とカナダにおける検索サービスに対象が限定される。

このため、日本のネット業界に今回の大型協業の波紋が直接及ぶとは今のところ考えにくい。


米ヤフーが約33%出資する日本のヤフーも「現時点で国内事業には影響はない」と話す。背景には国内と米国では市場環境が180度異なる事情もある


米国での大型提携について日本のヤフーは「これまで通り、国内では独自の事業を進める」と静観の構えだ。

米国のネット検索市場ではグーグルが6割強のシェアを確保、米ヤフーは大きく水をあけられている。

ネット広告シェアでも、グーグルが約3割を確保し、ヤフーを上回る。


一方、日本市場では検索シェアで日本のヤフーがグーグルを上回り、オークションなどネットサービスでも圧倒的な地位を占める。

米国と日本でヤフーとグーグルは逆の立場にあるのが実情だ。


日本では広告優位保つ


今回、米ヤフーとグーグルが提携した検索結果に関係する広告を表示する「検索連動広告」などの分野でも、日本ではヤフーが上回る。同広告と、サイトの内容に関連した広告を表示する「コンテンツ連動型広告」を合わせた市場シェアでは、ヤフーが6割強を占め、グーグルはその半分ほどとみられている


米国では追いつめられたヤフーがグーグルとの提携に活路を求めた形だが、事情の異なる日本では今のところヤフーがグーグルと手を組む必然性はないとの見方が強い。


もっとも、国内でも携帯電話向けサイトや個人サイトなどを中心にグーグルはネット広告で攻勢をかけている。

日米のヤフーに出資するソフトバンクの意向もあるが日本におけるグーグルの存在感が急速に高まれば、両社の関係に微妙な変化が表れる可能性もある。


以上です。




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「退」を好む者を挙ぐべし

2008年06月29日(日)

今日も昨日に引き続いての土、日雑感です。

いつもの様に伊藤 肇「喜怒哀楽の人間学」を皆さんと一緒に見ていこうと思います。(この本は昭和53年に書かれています)


6月21日、22日の中山素平と「耳順」がはじめになりますので、つながりが解り難い場合は上記のブログを参照して下さい。


「退」を好む者を挙ぐべし


第三の「いやがる正宗を二年ごしに口説いた」という台詞である。

中山と親しい経団連会長の土光敏夫は「社長というのは大変な役目だ。それを知ってか、知らずにか、『社長になりたい』などとぬかす奴の気が知れない。なりたくて仕様がない奴を社長にするものだから、いつも、あとでゴタゴタが起きる」といっているが、たしかにその通りだ。


ただし、現実の世界では、なかなか、土光のいう通りにはいかない。「理想論だ」ときめつける向もある。


ところが、朱子が編纂した帝王学の本『宋名臣言行録』の中でも「人ヲ挙グルニハ須(すべから)ク退ヲ好ム者ヲ挙グベシ」と明快に原則を規定しているし、実際に中山が、いやがる正宗を頭取に据えているのだ。


さらにこの原則に対する朱子のコメントがある


「退ヲ好ム者ハ廉謹(れんきん)<いさぎよく慎しみ深い>ニシテ恥ヲ知ル、モシ、之ヲ挙ゲナバ、志節イヨイヨ堅クシテ敗事アルコト少ナカラム。

奔競ノ者<スタンドプレイをやって猛烈に競争する者>ヲ挙グルコトナカレ。

奔競スル者ハ能(よ)ク曲ゲテ諂媚(てんび)<へつらい>ヲコトトシ、人ノ己ヲ知ランコトヲ求ム。

モシ、コレヲ挙グレバ、必ズ、能ク才ニ矜(ほこ)リ、利ヲ好ミ、累(わずらい)、挙官<その人物を推せんした官>ニマデ及ブコトモトヨリ少ナカラザラン。

ソノ人スデニ奔競ヲ解スレバ、マタ何ゾ挙グルヲ用イン」


奔競の人間とわかっていたなら、絶対にこれを抜擢してはならない、と戒めているわけだが、では「奔競の人」とは、どんな人物か。

まっさきに頭にうかぶのは自民党政調会長の中曽根康弘である


中曽根がかって経団連会長の石坂泰三を訪ねたことがある。もちろん、例によって大風呂敷をひろげた。

石坂はフンフンといいながらきいていたが、中曽根に喋るだけ喋らせると、とぼけた面でこういった。


「中曽根クン。君は龍の絵をしっているかネ。龍にはいつも雲が描き添えられているだろう。それは、雲を描かずして龍の躍動をうきぼりにすることはできないからだ。

したがって、雲は龍におけるベールであり、ペースであって、これを離れて龍の面目はあらわれ得ないのだ。

人間も龍と同じで、自分のペース、自分の雲に隠れきって、時々、雲間から、ほんのちょっぴり、角をみせ、顋(あぎと)をちらつかせ、胴体の片鱗をあらわすにとどめ、そこから抜けださぬのが一番の韜晦術というものだ。

それなのに君は、龍がふんどしまではずした恰好で、余計なむき出しかた、余計な暴れかたをしたがる。ほんとにバカげたことだよ」


さすがに自信過剰の中曽根も一言もなく退散した。

「言語明晰、頭脳不明晰」な男の長広舌にうんざりした石坂がピリッとわさびをきかせたのである。


もっとも中曽根は、このやりとりがよほど骨身にこたえたのか、毎日新聞の「ひと」欄<52・11・28>でインタビュアーから「あなたの欠点はどう?」ときかれて「ライトを浴びていたい、という気持ちが強すぎることでしょう」と答えている。

六十歳をすぎて、多少は自分の致命的欠陥がわかってきたのかもしれない。



以上です。


お疲れ様でした。





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トップ業「三期六年」の意味

2008年06月28日(土)

土、日雑感の土曜日です。

いつもの様に伊藤 肇「喜怒哀楽の人間学」を皆さんと一緒に見ていきたいと思います。(この本は昭和53年に書かれています)


前回の6月21日、22日の中山素平と「耳順」の続きになりますので良ければ前回分に目を通してもらったら幸いです。


トップ業「三期六年」の意味


第二の「頭取業を足かけ七年やりました」という台詞である。

相当に線がふとく、豪放磊落の男でも、社長になりたての一期ニ年間は死にものぐるいの努力を重ねる

文字通り、昼間はもちろん、夜寝ている時も経営のことを考えるのだ。


旭化成工業社長の宮崎輝がよくいう。


ボクは副社長の時も、旭化成のことを真剣に考えつづけた。そして、考えながら、ベッドへもぐり込んだものだが、枕に頭をのせると同時に深い眠りに落ち込んだ

ところがどうだ、社長になって、同じように社のことを考えながらベッドへ入ると、ますます目が冴えてきて朝まで寝つかれない

社長と副社長との差はこれくらいあるぜ。しかし、これは社長になってみないと絶対にわからない


副社長はいろいろ考えても、そのプランを社長に報告すればそれで終わりだ。社長はただ一人で決断しなければならない。孤独な厳しい作業である。


二期、三年―四年もこの緊張はつづくし、三期、五年―六年も、まあまあである。ところが、どんなに意志強固な社長でも四期、七年目になるとぼつぼつ惰性がでてくる


大体、社長になれるのは、五十歳をはるかにすぎてからだが、その年齢で全力投球が毎日続いたら、三期六年もやったらヘトヘトになってしまうはずであるそれを二十年以上も平然とやっているのは、「社長のサボタージュ」以外の何ものでもない。


したがって、最も理想的な形でいえば、三期六年の間に後継者を養成しておいて、さっさと退くことである。せいぜい、妥協しても五期十年が限度であろう。


社長に限らず、古今東西、いかなる名君、名宰相といえども、あまり長く、その職にあれば、必ず、マンネリ化し、飽きられるのは歴史の常則である


中山は、そこのところを「足かけ七年」で鮮やかに区切りをつけている。



以上、明日に続きます。


お疲れ様でした。




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商品化要望サイト「たのみこむ」報酬化も検討

2008年06月27日(金)

今日も昨日の続きで商品化要望サイト「たのみこむ」続編を紹介させていただきます。


点検 ネットビジネス


商品化を望む消費者のアイデアは千差万別だ。要望が先に立った収益度外視のアイデアで「企画倒れに終わったのも少なくない」(たのみこむ事業部シニア・プロデューサー大野健太郎氏)。


売れる売れないの目利きは、あくまでも同社スタッフの力量による

大野氏は、「開始当初は10あるアイデアのうち1個か2個程度しか商品化に結びつかなかったが、今では6個か7個ぐらいまで商品化の確率が高まってきた」と手応えを感じている。


商品化する場合、同社からメーカーにアイデア料は請求せず、商品の販売や販促を請け負う収入を主な収益源としている。

最近では、メーカーがサイト内のアイデアを先取りして商品化するケースも増えているという。


サイトのトップページの閲覧件数は増加傾向にあるといい、2001年に月間450万件だったページビュー(PV)は、05年に1000万件を突破。現在は月間1200万件に達する。


趣味性が高いため、購入単価は「1万円前後」と、平均的な電子商取引(EC)サイトの5千―6千円よりも高い。

マニアの間では「気に入った商品は高額でも購入したい」という声が強く、今後は単価が数万円の高額商品の商品化に力を入れていく考え。


70―80年代の海外ドラマも数タイトルDVDとして商品化する計画。30―40代の利用者から「子どもの時に見ていた懐かしい映像だが、ビデオは出ているのにDVD化されていない」との声が多いためだ


商品化はサイトを利用する消費者と目利き役の同社スタッフとの共同作業

今後はアイデアの発案者に対し特典を支給する仕組みを整え、商品化の種を丹念に拾い出す考えだ。


以上です。





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商品化要望サイト「たのみこむ」

2008年06月26日(木)

今日は6月18日に日経産業新聞に掲載された点検ネットビジネスのコラム記事で取り上げられたウェッジホールディングス商品化要望サイト「たのみこむ」を紹介したいと思います。


「たのみこむ」については今までに一度くらいは名前を聞いたという方も多いと思いますが、その実態については案外知られていないのではということで今回、紹介することにいたしました。


点検 ネットビジネス


子どもの時に流行した玩具をもう一度販売してほしい。放映終了後のドラマをDVDで見たい―。

ウェッジホールディングスが運営する商品化リクエストサイト「たのみこむ」には、毎月さまざまな消費者のアイデアが書き込まれる。

その数は月500件近く、これまでに寄せられたアイデアは延べ約5万件。


趣味性が高いため購入単価が高いのが特徴で、閲覧件数も増加傾向にある。


人気漫画「北斗の拳」の登場キャラクターが着けていたヘルメット。「同じデザインの実物が欲しい」というユーザーのニーズをもとに07年に商品化した。

付いた値段は1個15万円。当初10個の生産を見込んでいたが、一週間で50個の予約が集まり完売したという。


「たのみこむ」の登録会員(無料)は約30万人。利用者はサイトに商品化の要望を書き込む。

ほかのユーザーから一定の賛同票が集まった時点で同社が商品の写真や価格、仕様などを記入した商品化の要望書を作成。これをネットで公開し、購入希望者を募集する。

メーカーと交渉し、購入希望者から一定の注文量が確保できた時点で発注をかけ商品化に至る仕組みだ。


1999年12月の運営開始からこれまでに実際に商品化につながった件数約300件。


マニア好みの商品が多く大量生産になじまないため「ボールペンや携帯電話のストラップのような比較的安価な商品でも多くて2000個、少ないものだと10―20個というのも珍しくない」と、たのみこむ事業部シニア・プロデューサーの大野健太郎氏は話す。注文数量に達しない時は商品化を見送る。



今日はここまで、で明日に続きます。










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ニューズ・ツー・ユー ヤフーと業務提携

2008年06月25日(水)

今日は更新の時間が大幅に遅れて申し訳ありません


ストックしておいた資料から日経産業新聞の5月掲載記事で顧客企業の発表情報配信に関する記事を紹介したいと思います。


と言いますのはネットを活用した広報支援と言うのは案外と見落とされている部分があるのではと私自身、感じていることでもあり、今後の利活用次第では化ける可能性を秘めているように考えています。

その一つのキッカケとして以下の内容の記事を紹介します。


ヤフーと業務提携  顧客企業の発表情報配信


インターネットを使った広報支援のニューズ・ツー・ユー(東京・千代田、神原弥奈子社長)はヤフーと業務提携する。

26日からヤフーのサイトに顧客企業の発表情報を配信。

国内最大のポータル(玄関)サイトと組むことで、企業の発表情報をより多くの個人投資家などに届ける。

顧客企業の満足度を高め、新規顧客獲得につなげる。


ヤフーの企業情報サイト「ヤフー!オンビジネス」に、ニューズ・ツー・ユーの顧客企業が発信する発表情報を配信する。

自社サイトや「エキサイト」、「グー(goo)」などの配信先に、新たにヤフーを追加。

利用者が情報を見る機会を増やし、顧客企業サイトへ利用者を誘導する。


閲覧回数を大幅に増やすことで、ヤフーやグーグルなどでの検索結果画面で上位に掲載される利点もある。


ニューズ・ツー・ユーは、約一千社の新製品情報やIR資料などの発表資料をポータルなど国内ニ十数件のサイトに自動配信している。

サービス利用料は月額十万五千円。今回の提携で、ニ〇〇八年末までに新規顧客三百社の獲得を目指す。


中堅・中小企業が顧客の中心だが個人投資家への情報発信を重視する大手企業からの受注も広がっている。

現在、日産自動車や富士フイルムなどが導入している。



以上です。




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米VB「5g」日本でもサービス本格展開

2008年06月24日(火)

昨日の続きで米ベンチャー「5g」についてです。


「i グーグル」だとグーグル向けに作られたプログラムに選択肢が限られるのに対し、「ズード」なら「ヤフーマップ」グーグルの「お天気情報」を同一画面で利用できるようになる。



「コンピューターの知識がないお年寄りでも楽しめるる」とマックニールCEOが自慢するほどの簡単な操作で高度な作業を可能にしたのは、同社が開発したプログラミング言語「オープン5G」にある。


マックニールCEOは1980年代、ジョージ・ルーカス映画監督の製作会社ルーカスフィルムで映画フィルムのデジタル編集システム開発などを手掛けた。


企業のプレゼンテーション資料や動画などプログラムの種類に関係なくネット上で共有できるサービスの実現を目指して2006年、新会社をつくった。

「ズード」も「オープン5G」の性能を最もわかりやすく伝える手段として考えついたという。


昨年9月に米国で「ズード」のベータ版サービスを開始、利用者は約5万人に広がった。マックニールCEOはこれまでにない使い勝手は言葉で説明するのが難しい。まずは多くの人に使ってもらうことと話す。


知名度向上を目指し、2月から米国の若手アーティストとプロモーションを組んでキャンペーンを開始。

8月末までに1万人の利用を目指している。


すでにフランス語など5ヵ国語に対応。

日本でも「ズードジャパン準備室」を開設済みで、4月をメドに本格的なサービス開始を予定している。


※この紹介記事は日経産業新聞に2月掲載されたものです。


以上です。




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米VB「5g」

2008年06月23日(月)

今日は今年2月に日経産業新聞に掲載されたアメリカのベンチャー企業を紹介したいと思います。

本来はもっと早く紹介すべきでした。


この企業に注目      


米VB「5g」簡単操作でホームページ作成


米ベンチャーのフィフス・ジェネレーション・システムズ(5g)はマウスの「ドラッグ&ドロップ」操作で簡単に好みのサイトやサービスを集めたホームページを作れる新サービス「Zude(ズード)」を提供し始めた。


異なる言語で書かれたプログラム同一ページ上で使える技術を実現し、業界のみならず、世界のネットユーザーの注目を集めている。

「ネット上のコラージュを想像してもらうとわかりやすい」。ジム・マックニール最高経営責任者(CEO)は新技術についてこう説明する。


無料で利用登録をすると、「メニューバー」以外は空白の画面が表れる。

マウス操作で別に開いたウインドーから画像やリンクなどを好きなように貼り付けていく。


ブログ風の書き込みやコメント欄作成は何回かのクリック操作で、貼り付けた画像などの移動はマウスによるドラッグ操作で自由自在にできる。

共通の趣味を持つ他の利用者とグループをつくるといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)的な要素も取り込んだ。


ページ共有も可能で、昨年五月には米マサチューセッツ工科大学(MIT)が地元企業などとの開発プロジェクト用ホームページに試験版を採用した。


自分の専用ページを作るサービスは、米ヤフーの「マイ・ヤフー」や米グーグルの「iグーグル」などでおなじみだが、「ズード」の最大の特徴はPHP、PERL、Javaなどの言語はもちろん、「ウェブ上で機能するほぼすべてのプログラムに対応している」(同社)点にある。


明日に続きます。









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「耳順」とは心境の変化

2008年06月22日(日)

今日も伊藤 肇「喜怒哀楽の人間学」を皆さんと一緒に見ていきたいと思います。(この本は昭和53年に書かれています)


昨日の続きになりますので良ければ昨日の分にザッと目を通していただければ、より解りやすいと思います。



阪急電鉄相談役の清水 雅も六十歳になった時、どういう風のふきまわしか、特に目をかけてくれた先輩がバタバタとなくなった。

本人も、「何や、けったいな気持になって医者へいった」という。医者は丁寧に診察して「酒と煙草とをやめたら、寿命が三年延びるでしょう」といった。


そこで、清水は考えた。

<三年ぐらいだったら、寿命が延びても仕方がない。酒と煙草は断乎としてやめない>と決意した。


しかし、<あと三六五〇日寝ると七十歳か。そんなのは、あっという間だ。それなら、三六五〇分の一の一日を大事にしなければならん>と自分にいいきかせ、「以来、女房を絶対に怒らなくなった」という。


また友人でも親しくなればなるほど、いろいろな矛盾がでてきて、それが癪にさわったり、情けなかったりする。

ところが、それが六十になると、お互いに懐かしくなって、癪にさわる奴だったけれども、そいつの悪口をきくと弁解の一つもしてやりたくなるものである。


「耳順」とは、そういう心境の変化をもたらす事なのだ。

どんなに有能な人物でも、歳をとれば、体力、気力ともに衰え、呆けてくるのは、いかんともしがたい。


「耳順」を説いた孔子でさえも「甚ダシキカナ。吾ガ衰ヘタルヤ。久シク夢ニ周公ヲ見ズ」と嘆いている。


若い頃はいうまでもなく、壮年になってからも心から傾倒していた周公<中国、周の政治家。賢人といわれた>の夢をよくみたが、寄る年波の近ごろは、さっぱり見えなくなってしまった。という意味で、孔子のように充実した人生でさえも、老いがもたらした間隙がしのびやかに入り込んでいるのだ。


財界においては、実力者ともいわれた連中でも、亡くなった日から逆算して三年間にやったことはすべて失敗である。

「強盗慶太」と怖れられた東急コンツェルンの創業者、五島慶太が晩年やったことは、東京ヒルトンとの契約と東洋精糖の乗っとりで何れも大失敗だった。


また、池田内閣をつくった陰の実力者といわれた朝日麦酒の山本為三郎は、やたらにレストランをふやしては採算の足をひっぱり、日本麦酒<現サッポロビール>との合併を策したが二度にわたってつまずき、なかんずく、毛並好みで後継者を選んだのが致命傷となって、今、朝日麦酒は住友銀行の管轄下にある。


実際問題として、経営者も働き甲斐のある仕事がやれるのは四十五歳から六十五歳までの二十年間で、六十五歳以降は余生を考えるのが無難である。そして、この間にやった仕事の質と量とによって、余生が稔り多きものになるか、あるいは陋巷に逼塞するかのわかれ目ともなるのである。


つまり、金銭に換算すれば、「二十年間」に千億の仕事をすれば、千億に対する端数利子がつき、一億の仕事しかやれなかったら、一億相応の端数利子しかつかぬことになる。

中山素平が、その六十五歳までに四年間の余裕をもたせたのは、心にくいというほかはない


以上です。


お疲れ様でした。











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中山素平と「耳順」

2008年06月21日(土)

土、日雑感の土曜日です。

いつもの様に伊藤 肇「喜怒哀楽の人間学」を今日も皆さんと一緒にみていこうと思います。(この本は昭和53年に書かれています)


前回の土、日雑感6月15日の続きになりますので良ければ前回の分に目を通していただければ幸いです。


中山素平と「耳順」


もう一つ、財界の語り草となっているのは興銀相談役の中山素平である。

中山が「頭取をやめて会長になる」と公表した時は、興銀の重役会はもちろん、OBや周囲の連中も猛烈に反対した。


当然、あの手、この手のしっこい留任運動が行われたが、中山は頑として受けつけず、静かに自らの意思を貫き通した。

そして、いよいよ会長と決定した時、記者会見が行われた。


その席で中山は淡々たる調子でその心境を語った。

「わたしは年齢も六十一歳となりました。頭取業を足かけ七年やり、後継者はしぶりにしぶっていた正宗猪早夫を二年ごしに口説きつづけて、やっとOKをとりましたので、これを機会に引退することにしました」


何の気負いもけれんみもない平凡で短い台詞だが、実は、この中に出処進退の原理原則が全部抑え込まれているのだ。


第一の「わたしも六十一歳になりました」という台詞である。

いかなる人間でも六十の坂を越す頃になると<ま、この辺が自分の精いっぱいのところだ>と限界点を自覚し、ある意味の絶対境に到達する


孔子はそれを「耳順」(しじゅん)<耳順う>(みみしたがう)といい、今までは、とかく納得できぬことやら、カンにさわることばかりが多かったが、そういう「我」もとれて、人を大きく包容できるようになるのである。


たとえば、こんな具合である。


友人に夫婦仲の悪いのがいて、しょっちゅう悶着を起こしていたが、六十をすぎて、また一騒動やらかした時、珍しく女房が喧嘩の途中でこういった。


「もう、よしましょうや。お互い老い先が短くなっているのに、今さら、いがみあってもせんないことです」


亭主のほうも、<なるほど>と思い、以来、喧嘩をしなくなったという。


今日は以上です。


お疲れ様でした。





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