ネット活用イノベーション 群創力活用のポイント
今日も引き続いてNRI(野村総研)の知的資産創造から”「群創力」を経営に活かす”を引用紹介していきます。
群創力を使いこなし、イノベーションの鉱脈を発見するためには、従来と異なる経営パラダイム、組織運営能力が必要となる。
Webを活用したコミュニティの形成など、外形的な仕組みの構築だけでは、イノベーションを起こし業績を伸ばすことは難しい。
以下に、特に重要なポイント3点を示す。
1.外部の集合知を認知し尊重する
第1に必要なのは、企業内部の専門家の知だけでなく、外部の集合知の存在を認知、尊重することだろう。 顧客起点経営、CS(顧客満足度)経営を標榜する企業は多いが、外部の集合知を専門家の知と同等に尊重している企業はまだ少数である。 ただし、あらゆるイノベーションの領域で集合知が活用できるわけではない。
たとえば、定番化している食品の商品開発で「味」の改良のために集合知を活用しようとしても、成果に結びつく可能性は低い。
例として、カップラーメンや飲料などがある。 定番化したこうした商品であっても、顧客の不満は常に存在する。 「麺に腰がない、甘すぎる、炭酸がきつい」といった不満だが、こうした不満を取り除いた商品を投入しても、販売増につながる可能性は低い。
これらのケースでは味の改良ではなく、新たに食べる(飲む)シーンの開発や広告・宣伝のあり方が販売増につながるKFS(キーファクター・フォー・サクセス、成功要件)と考えられるためである。
これまで浸透してきた、アウトドアやパーティなどで食べる(飲む)というシーン以外の新たなシーンの開発に集合知を活用すべきであろう。
2.自由と規律の新たなバランス
第2のポイントは、企業が外部の群と向き合う際の、自由と規律の取り方である。
群の集合知を活性化させることを重視した、群に対する新たな規律のあり方が必要である。
たとえばナイキは、消費者が作成した映像を投稿してもらい、その映像を自社のプロモーションに活用するキャンペーンを2006年に展開した。
その際、ナイキは映像を送ってくれる「群」を活性化させるためにさまざまな工夫を凝らしている。
消費者が作成したコンテンツを活用する場合、著作権は通常企業側に帰属させる。しかしナイキは、映像コンテンツの作成者である消費者側に帰属させている。
ナイキは消費者に対して使用権のみを求めることで、他のWebサイトや自分のホームページにも映像を掲載したいと考える消費者を引きつけているのである。
外部の群と向き合う際、多くの企業は、リスクを遮断するためにガードを厳しくする。しかし群創力を活用するには、群の自由度を高めるとともに、事前に明確なルールを設定しておくことが必要となる。
3.外の力を活かす組織運営
最後のポイントとして、外部の集合知を活用するためには、日本型の属人的な暗黙のルールではなく、「見える化」された組織運営ルールが必要となる。
群創力を活用したイノベーションの実現には、大量の情報に基づいた試行錯誤が伴う。 この際に試行錯誤の対象とすべきは、製品やサービス、顧客探索ではなく、運営ルールそのものである。
組織としての試行錯誤によって得られるノウハウがKFSとなる。 そのために、組織運営ルールは標準化されている必要がある。
標準化された組織運営に加えて、もうひとつ重要なことは、標準ルールを部門横断で活用することである。
外形的な事業モデルの構築にはそれほど時間を要しない。 しかし最後に述べてきた群創力を使いこなす組織能力の構築には、相当な時間とエネルギーが必要となる。 NRIがこれまで調査してきた先行企業の例では3〜5年の時間がかかっている。 ただし、一度この組織能力を身に付けた企業は、差別化の源泉を手に入れたことになる。
以上です。
