反面教師のコダック破綻
昨日1月30日の日経新聞「経営の視点」に米イーストマン・コダックが経営破綻したことに関しての記事が掲載されていました、主力事業と新分野への展開という点で参考になるように思いましたので紹介・引用いたします。
以下、1月30日の日経新聞「経営の視点」より
かって銀塩フィルムで世界に君臨した米イーストマン・コダックが米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を申請し、実質的に経営破綻した。
デジタルカメラの普及に押しつぶされた、言われればわかりやすいが、主力事業が消えても新分野に展開し、生き残る企業はいくらでもある。
コダックの破綻には米国企業が直面する2つの弱点が潜んでいる。
コダックの好敵手だった富士写真フィルムを引き継いだ富士フィルムの業態とコダックの間には、実はそれほど大きな違いがあるわけではない。
「イメージング」「ソリューション」「コミュニケーション」「メディカル」といった用語は両社の事業に共通している。
フィルムの周辺分野への展開では大差はない。
両社の違いは、富士フィルムを傘下に置く富士フィルムホールディングスが富士ゼロックス(持ち株比率75%)と冨山化学(66%)を持ち、成長分野にしたことだ。
旧富士写真フィルムの潤沢な内部留保が生き残りのためのダイナミックな事業買収、再編を可能にした。
内部留保を株主還元に回さざるを得なかったコダックにはその資金力がなく、フィルムの周辺に活路を求めるしかなかった。
行き過ぎた株主還元は企業の復元力を奪い、M&Aなどによる事業組み替えも困難にしてしまうわけだ。
株主の短期的な収益極大化要求は研究開発に深刻な問題を突きつける。
製造業は3段階の技術シーズ(種子)を持たなければならないといわれる。
第1は「現在の主力商品の改良、改善につながる技術」、第2は「次の主力商品につながる技術」、第3は「モノになるかはわからないが、可能性を秘めた技術」だ。
日本には伝統的に3つのシーズを確保する製造業が多い。
1960年代、日本が世界のカメラ市場を席巻し始めたころ、大手のカメラメーカーはニコン、キャノン、ミノルタなど5、6社を数えた。
各社は90年代のデジタル化の波にも対応したが、真骨頂はむしろ異分野への展開にあった。
言うまでもなく、キャノンは複写機・複合機、プリンター事業を開拓し、今やオフィス向け機器が売り上げの過半を占める。
ニコンは半導体や液晶パネルの露光装置など精機事業が売り上げの4分の1を担うようになった。
損失隠しで基盤が揺らぐオリンパスは利益の8割を内視鏡など医療機器であげている。
ミノルタとコニカは経営統合後、カメラ事業を譲渡し、複写機などオフィス機器や光ピックアップなどデバイスのメーカーに転じた。
次の主力商品の技術、可能性を秘めた技術の開発で手を抜かなかったことが新分野への展開を可能にした。
コダックがフィルム事業で莫大な利益をあげていた時代に、日本のカメラメーカーのような「可能性を秘めた技術シーズ」を追っていれば、今日のような結末にはならなかっただろう。
研究開発の効率化を求める株主の意見に耳を傾けすぎれば、将来の経営の展開力は落ち、発展の余地は狭められる。
コダックの破綻は、最近では停滞の要因にされる日本的経営の美質と可能性を再認識させる。
(編集委員 後藤康浩)
上記は1月30日の日経新聞「経営の視点」より引用いたしました。
この記事はいろんな意味で考えさせられますが今の時期、日本企業の強みと弱みを問い直すことで新たな展開につながるものと思います。
今日は以上です。
