●時代に負けるな
夏以来の円高、株安、同業他社の倒廃業など、宝石業界を取り巻く環境は劣悪なものとなっています。
高度成長経済からバブル膨張経済にかけて、右肩上がりに伸びてきた宝石小売業は、1991年以降、階段状に落ち込みました。
最盛期には、1兆5,000億円にまで、膨張した市場規模は、2000年には、1兆円、2006年には7000億円にまで冷え込んでいます。
企業の盛衰は、当然時代の流れの中で左右されますし、われわれ一生活者も、時代背景を無視しては生きて行けません。
しかし、ここで冷静に考えて頂きたい。
時代が悪いから売れないのは当然か?市場規模が縮小したから売上高が減少してもよいのか?
現代のような不況期には
宝石のような高額品が売れないのは当然か?
これらの問いをあえて否定します。
宝石小売業界は、今でも、年間7000億円の市場の需要があるのです。
最盛期の1兆5,000億円は、まさに
宝飾バブルでした。2002年に、
うどんバブルであったのと同じです。
市場が冷え込んでいる現代、顧客から求められているのは、真の意味での宝石専門店であることに気付くでしょう。環境は確かに悪い。しかし、その環境をプラスイメージで認識すると、
宝石専門店として真価を発揮できる時代でもあるのです。
●世界のどこかは、いつも朝です
宝石小売業の問題は、お客様が来店されない、売れない、単価が上がらない。
宝石小売業は、かつて高度成長経済からバブル経済時代、眼を見張るような成長をしました。その主役が大衆層と言われる主婦だったのです。
価格のみで買う、チラシ掲載商品を買う、9、800円、19,800円のファッションリングのみを買うと言われた人々です。
店舗では、それらの主婦をメイン・ターゲットにして品揃えしました。そして、残ったのは売れない廉価品の残骸でした。
宝石小売業界の主役(主婦=若奥様)が姿を消してしまいました。価格破壊を体験した消費者は、見せかけの「良品安価」に躍らなくなっています。店舗とは、商品、サービスとお客様の出会う場所です。お客様が来店されないのは、店舗に魅力が無いからです。
売れないのは、
品揃え商品にお客様が欲しいと思う物が無いからです。単価が上がらないのは、接客していないからです。
店舗の魅力つくりは、簡単なところからできます。クレリンネス(清潔)を徹底することが基本です。床を綺麗にする、ガラス面を磨く、ショーケースを常に清潔にしておく、POP、 プライスカードそして、商品を新鮮に輝かせる。
ゲーテは「すべての人に玄関を掃き掃除させれば、前世界が綺麗になる」と書いています。
クレリンネスは店舗を改革させます。商圏ナンバーワンに綺麗な店舗をあなたの力でつくって下さい。
●顧客指向の品揃えをしましょう
主婦層がいなくなった宝石市場は、ヘビーユーザー層とヤング層に支えられています。
ヘビーユーザーは
ダイヤモンドも色石も既に持っています。ヘビーユーザーはご自分のお持ちでないものを探しておられます。
展示会などを積極的に開催する宝石店が比較的健闘しているのは、日ごろ店頭にない持っていない商品が提案されるからでしょう。
お客様が持っていない商品を見付けるとは、持っている商品を知ることから始まります。ヘビーユーザーには限りませんが、顧客管理の大切さは銘記しておいて下さい。
顧客は個客です。仕入れる時に、それを買うお客様の顔が見えること(ドメイン)が大切です。
ヤング顧客とは、ペアリング、婚約リング、マリッジリングなどのお客様のことです。
買い回る、ブランド指向、テザイン指向、トレンド指向などの特色があります。
情報に敏感な為に、これらヤングマインドのお客様に好まれる店舗は情報発信基地になっていないと見捨てられます。
「安いですよ」「お似合いですよ」では買いません。品揃えが顧客指向的とは、お客様の欲しい商品、お客様が価値を見いだして頂ける商品を品揃えすることです。
大量品揃えではなく、絞り込んだ選びやすい品揃えにしましょう。なによりも鮮度が優先されることには注意をはらって下さい。
例えば、売れない低単価の
ピアス面を見て下さい。それらをすべて最新のデザインの商品に入れ換えたらどうなりますか?
●接客は心です
宝石小売業で販売に努力されているみなさん!
企業は時流適応業です。宝石専門店も、時の流れには逆らえません。
お客様の価値観は変化しています。例えば、消費性向の変化は消費しない消費者の増加を、
ライフスタイルの変化は生活の簡素化を、雇用情況の悪化は社会全般に不安を増幅させています。
宝石小売業を取り巻く環境は劣悪なものとなっています。それだけに、あなたの優しい笑顔、優しい言葉、優しい行動が、なによりもお客様に感動をあたえます。
販売は、自分を売り、商品を売り、店舗を売ることです。満足感の無い店、不愉快な店にはお客様は戻ってきません。
物を売るだけではコスト面から見ても、自動販売機やセルフセレクションがいいのでしょうが、宝石のような高額品、高度な商品知識を必要とするもの、究極の華奢品は、接客抜きに販売は出来ません。
宝石は単なる「物」ではないのです。宝石は有史前から、人々の憧れとして存在していました。そして、未来永劫に続きます。
私達の身の廻りにある物は、近い将来、別の物に取って替わられるでしょう。しかし、宝石はいつまでも、そのままの姿で美しく輝がやいています。
宝石を売るとは、販売員の語るイメージ、ロマン、夢、神秘、歴史を売っていることになります。
●物を売らずに信用を売れ
深い商品知識は必要ですが、お客様から求められるのは信用でしょう。
その信用は心なのです。あなたの心の清らかさ、美しさ、熱心さに感動して、お客様は宝石をお買い上げになられます。
売上高=単価×客数です。一般に業績が悪いのは客数減が原因です。
そして、客数=継続客+新規客です。
客数減は、新規客が無いことからくる現象です。買回性の高い宝石小売業では、店の固定客はいないと思った方が正しいかも知れません。
新規客を一人でも多く
接客する、そして、自分の信用を売る、結果として、お客様は継続客になります。
お客様は、販売員を、商品を、店舗を信用されているからこそ、継続客となります。
更に、期待があるから継続して来店されるのです。お客様に喜ばれる販売員とは、気配り、心配り、手配りが巧みな人です。そして、なによりも大切なのは心からの笑顔でしょう。
「幸せな人間とは、ある環境に置かれた人間ではなく、むしろ、ある心構え、ある姿勢をもった人間である」(ヒュー・ダウンズ)あなたが先ず売るのは、物ではなくて、あなた自身の信用です。
●サービスとは愛である
お客様に感動を与える
サービスとはなにか?
人間は刺激に反応する動物です。
サービスを景品などの物や、価格のみに頼っていては、一時的な満足を与えられても徐々に反応は鈍くなります。
価格破壊を経験した宝石小売業は、新しい視点に立ったサービスの徹底が必要です。
サービスの基本は愛です。お客様の心に打ち込まれなくては、サービスとしての価値はありません。
あなたの心(愛)を具体的な言葉や行為で表現して下さい。サービスは顧客指向的でなければなりません。
自分本位のサービスは嫌われます。「ありがとうございます」の言葉は心を込めて。
笑顔一つにお客様が感動します。
お客様に新しい情報を提供していますか?
お客様の為に働いていますか?
お客様に夢を提供していますか?
お客様にやすらぎと癒しを提供していますか?
販売は、常にお客様の目線で考えるべきです。お客様の立場で発想し、タイミングを大切にしましょう。
販売とサービスの一体化を図りましょう。
今こそ商機です。商圏でナンバーワンの宝石販売員になって下さい。
明日は明るい日と書きます。それを信じて、夢を語ろうではありませんか!
(注)
1.うどんバブル・・・2002年頃、蕎麦文化である関東に、讃岐うどんチェーン店がオープンしたのがきっかけで、讃岐うどんブームが起こる。
2.若奥様・・・ジュエリーマキの接客用語。年齢に関係なく、奥様とは呼ばず、若奥様と呼ぶ。
3.宝飾バブル・・・高度成長経済時、ジュエリーマキを真似て、地域専門店の多くが低単価のファッションリング、ピアスを主とした大量品揃えをし、一気に宝飾需要が高くなった。一部には、2兆円規模まで拡大したとの見解がある。
経営コンサルタントのブログ|本音で宝石業界を斬る〜宝飾、時計、アクセサリーへ