中国での子育てから感じたこと〜その2

2009年02月19日(木)
昨日の続きです。

週刊エコノミスト2月24日号
中国視窓 チャイナ・ウオッチ
少子化大国の未来を担う「小皇帝」たちのサバイバル

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子どもの数が少なくなっているとはいえ、絶対数は多い。そして彼らには激烈な競争社会が待ち受けている。

熾烈な競争社会

その象徴として、大卒者の就職難の深刻化が挙げられる。近年、大学の募集定員枠の拡大により急激に学生数が増加しているが、13%の高成長率を達成した07年ですら、多くの新卒者が就職できなかった。政府系シンクタンクの中国社会科学院が昨年1月に発表した社会情勢展望報告「社会青書」によると、07年6月末に卒業した大学生495万人のうち、同年9月1日までに就職が決まったのは351万人に過ぎない。中国の大学進学率はまだ20%強であり、子どもの数が減っても大卒者の数は増えていくであろう。先日、イタリアンレストランで見かけた中国人家族は、両親が談笑している横で、中学生と思われる子どもが、食事もそこそこに学習ノートを一心不乱に読んでいた。厳しい就職競争は早い段階から始まっている。

中国の定年退職は、男性60歳、女性55歳。現在の定年制が続くと仮定して国連経済社会局の推計を基に試算すると、2010年時点で15歳以上定年前の人口は約8・8億人であるが、労働力人口がすべて一人っ子政策施行後に生まれた世代となる2040年には約7・6億人にまで減少する。

中国はこれまで、人口ボーナスと改革開放の恩恵により高度経済成長を実現してきた。今後、労働力人口が急激に減っていくなかで、中国が経済成長を持続していけるかどうかは、過保護に育てられた一方で、温かいコミュニティーに支えられる「小皇帝」たちにかかっている。そして、彼らは激烈な競争を乗り越えていく力を、十分に備えた世代でもある。

(おわり)

中国での子育てから感じたこと〜その1

2009年02月18日(水)
中国での子育てから感じたことを、現在発売中の週刊エコノミスト2月24日号に掲載してもらいました。2回に分けて紹介します。


中国視窓 チャイナ・ウオッチ

少子化大国の未来を担う「小皇帝」たちのサバイバル

上海市への赴任間もない2006年2月のこと。日本人が多く住む古北地区を家族で歩いていると、中国人の中年女性に、すれ違いざまに怒鳴られた。身振
り手振りから察するに、ベビーカーに乗せていた1歳半の息子の靴下とズボンの間から肌が見えていたことを注意していたようだ。2月の上海は非常に寒い。子どもの肌を露出させるなんてとても信じられない、というわけだ。

中国語で子どものことを「宝貝」という。文字通り「子は宝」という考えが残っているのだろう。この3年間、見知らぬ人から、「子どもの指しゃぶりはいけない」「寒い時に肌を露出させてはいけない」など何度も注意された。さらに、子連れで公共交通機関に乗り込めば、必ず席を譲ってもらえる。ベビーカーで街中を移動できるようなハードインフラは必ずしも整っていないが、社会全体が子どもに対して温かい関心を払っていることを日常的に感じる。

他方で、それは過保護の裏返しでもある。バスや電車では、幼児ばかりでなく、8〜9歳の小学生までもが席を譲ってもらえる。レストランで子どもが騒いでも、誰も注意しない。子どもへの関心の高さと、「小皇帝」「小公主」とも揶揄される過保護問題とが表裏一体になっているようだ。

子どもへの関心の高さの背景には、中国で進む少子化がある。07年時点では、40〜44歳人口が全体の9・75%を占めていたのに対し、0〜4歳人口はわずか5・05%。上海では、合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数)がすでに1を割り込んでいる状況だ(日本は1・31)。最大の要因は、1979年に始まる「一人っ子政策」だが、さらに教育費の高騰や、晩婚化による出産機会の減少が拍車をかけているといわれている。


(つづく)

日本人と中国人の「常識」

2008年12月01日(月)
毎日のようにいろいろな方と出会います。今日(1日)も、新たに3人の方と出会いました。皆さん、素晴らしい方ばかりでした。このブログでは、私がお会いした方を書くだけでも、相当の内容になると思うのですが、生来の無精がたたり、思うに任せません。。。

今日、久しぶりに、上海クイックマイツの小園総経理に会いました。あまりゆっくり話をしたことはなかったのですが、元気をもらうだけではなく、難しいことを簡単にスパッと切る思索力に脱帽しました。今日は、目からうろこ。

日本人従業員と中国人従業員の両方を部下に持ってみると、日本人でも中国人でも、「働く」ということに対して感じている意義にはそれほど大きな違いはないように感じます。人間個人の価値判断は、生まれもったものではなく、制度・慣習や社会情勢によって形作られていくのだな、ということを感じます。

小園さんは、それを、「日本人と中国人とは『常識』が違う」と表現していました。なるほど。きれいに頭の整理ができました。

そういえば、以前、このブログでも紹介した王さんの話(http://blog.fideli.com/iwatayasushi/archive/21/0)の中にも、「常識」という言葉が出てきていました。

「常識」は、時とともに変化していきます。中国が景気を引き締めているときに、世界中で金融危機の暴風雨が吹き荒れてしまいました。そんな中、中国では就職マーケットが冷え込んでいるという話も聞こえてきます。これまでの中国での労務管理における「常識」が変化してくるかもしれません。

そんなことを感じた日でした。

日本人と中国人の相互理解

2007年12月08日(土)
成都で、ソフトウェア企業を対象に、対日投資誘致セミナーを開催してきました。

日本でのソフトウェア開発の業務は増える一方ですが、日本では人手不足です。それをオフショア開発という形で対応してきているわけですが、発注先としてはまだ中国沿岸部の企業が中心です。ただ、将来的には内陸部へのアウトソースも増えていくことは確実で、既に、内陸部の企業で日本からのアウトソースを受けている企業も何社かいます。中国政府もアウトソーシングサービス産業の育成には力を入れていて、成都も中国におけるアウトソーシングさー^ビス産業育成基地の一つに指定されています。そんなこともあり、今回の対日投資セミナーは、成都で開催することにしたのです。

ここからが本題ですが、今回、セミナーを通じて刺激的な出会いがありました。今回の講師を務めていただいた方の一人で、NEC軟件系統科技(杭州)の王董事総経理です。

王さんは、まだインターネットが普及する前からオフショア開発に携わっており、1992年から15年間日本に滞在してソフトウェア開発関連の業務に従事した後、本年1月に中国に戻ってきました。

今回のセミナーでお願いした講演のテーマは、発注先である中国企業が日本からのアウトソースを受ける際に心がけておくべきことを、発注元である日本企業からの視点で明らかにしてもらう、ということでした。ということで、日本からのアウトソースを受けていくときに、文化ギャップ・仕様変更・品質要求という山を乗り越えていかなければならない、といのが講演の主題でした。

もちろん、ソフトウェア業界の専門的な話も多くあったわけですが、私が特に心に残ったのは、「意識」という視点でした。簡単に言うと、日本人と中国人とのコミュニケーション論・手法に関する指摘です。オフショア開発に限らず、中国に駐在されている日本人の方にも広く参考になるかと思い、その部分の講演要旨をご紹介します。

○日本料理には、卵を蒸した料理があり、「茶碗蒸」と呼ぶ。中国に来た日本人が茶碗蒸をレストランで注文すると、食べ終わった後に決まって「これは茶碗蒸じゃない」と言う。

○同じように卵を蒸す料理は中国にもあるが、日本と中国では材料も作り方も違う。中国国内でも地域によって全然違う。

○日本の茶碗蒸を食べたければ、材料と詳細なレシピを中国人料理人に教えてはじめて日本の茶碗蒸を食べることができる。

○文化が違うと、常識も異なる。日本人が常識と思っているような茶碗蒸を作ることができなかったからといって、その中国人料理人の腕が悪いわけではない。

○アウトソースを受ける側も、そのような文化の違いがあることを認識することが必要。例えば、発注者の作った仕様書を読んだとき、理解したような気になることが最も危険。必ず失敗する。仕様書を行間まで読み込んで正しく理解するためには、少なくとも1ページにつき20箇所は疑問を持つようにしなければならない。

○つまり、アウトソースを受ける側は、発注者とのコミュニケーションを図るために工夫することが必要。「1ページ20疑問」とう方法の他、プロセス・工程毎に必ず「確認工程」を設けることや、コミュニケーションに際して模型や画面を活用することも有効な手法。



非常に刺激的でした。

中国人の経営センス

2007年11月20日(火)
先週無錫に行ったとき、ソフトウェア開発をしている中国人の社長と食事をしてきました。
この社長は、1992年から日本に滞在し、日本企業の中でシステム開発を担当していたのですが、その後帰国、自ら会社を設立し、日本企業からのオフショア開発を請け負っています。

実は、この社長は、自らが2003年に設立した会社を、中国大手のITアウトソーシングサービスプロバイダーに売却してしまいました。引き続き総経理を務めているのですが、雇われ社長になっており、既にオーナーではなくなっています。

彼個人は、すでに先を見ているのです。年齢は、まだ40代前半なのですが、悠々自適の生活プランを描いています。一応、本気みたいなので、ここで彼のビジネスプランを紹介するのは控えておきますが、飲み会の場で盛り上がっただけのような何気ない話をビジネスにしようとしています。

何気ない話の中からビジネスの匂いを嗅ぎ取って、企画立案して実際にビジネスにしていく、彼ならきっとそこまでやるでしょう。前にも書きましたが、中国人のマネジメント力とマーケティング力には、非常に感服します。きっと、天性の投資家なのだと思います。この中国人の力と日本企業の力とをうまくマッチングさせる、そのような発想で、中国企業の対日投資誘致にも力を入れているところです。


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