その大饗宴の予算は現在の価格で3兆円強。(わたしには想像も付かない金額!)
国王が招待を受けたとい知らせから12日後の大饗宴。(準備期間短すぎます!)
臣下・女官を含めた総勢500名を越す客人。(準備期間短いのに人数多すぎです!)
注目すべきは、3日間それぞれに用意された「テーマ」です。デザインワークで欠かせないことのひとつに、そのデザインにした根拠をきっちり説明することが出来る「テーマ」があること、とわたしは思っていますが、ヴァテールもまた、毎晩の宴にはそれぞれテーマを掲げていました。
1日目・・・太陽の栄光と大自然の恵み
2日目・・・水の饗宴
3日目・・・氷の饗宴
それぞれのテーマに合った装飾や仕掛け、そしてお料理が用意されるわけですが、3日目の「氷の饗宴」は海神ポセイドンから太陽神アポロンに捧げる魚料理という意味合いで、氷で出来た彫刻に魚料理を盛りつけることになっていたのだそう。紋章に太陽を選び、太陽王と呼ばれている国王に捧げるテーマとして的確だと思うのと同時に、ルイ14世が芸術と科学を保護したことでも有名であることを考えたら、この3日間の大饗宴に用意した芸術的な装飾・音楽の数々は、納得のいく内容です。
また、イベントごとにはハプニングも付きもの。
(もちろんナイに越したことはありません)
こういうとき、妙に狼狽え八つ当たりしてしまうディレクターも少なくはありませんが、ヴァテールが仕切った饗宴中にも、数々のハプニングが起こりますが、冷静に気転を効かせて乗り越えてしまうところはあっぱれ。例えば、手配していたガラスのランプシェードが粉々に砕けて届いて使い物にならなかったのを、メロンの皮を細工して見事なシェードを作り上げたり、卵が腐ってカスタードクリームを作ることが出来なかったのを、クリームを泡立てた新レシピで回避したり。その気転と発想の良さには、脱帽ものです。柔軟な発想と対応は、今のどの業界にも必要な要素ですよね。
デザイン的にも建築や調度品、饗宴のために用意された演出や仕組みや装飾、豪華なお料理の盛りつけや衣裳なども見応えがあり、参考にもなります。ストーリー的にも興味深い内容が盛りだくさんなので、お時間あれば是非ご覧になってみてください。ルイ14世もベルサイユに迎えたいと思うほどに、素晴らしい料理人であり演出家であり、そして、心優しく繊細な男性に逢えます。