【ビスケット類・干菓子製造業】 誰のための「あいまいさ」

2007年08月28日(火)
この話題に至るきっかけが、
例の「白い恋人」を巡る騒動だったので、
一応今回は「ビスケット類・干菓子製造業」に関するコラムとしておくが、
菓子類に限らず食品の製造全般にかかわる重大な問題であるのは間違いない、ということを書き添えておかねばならない。


ニュースなどでよく取り上げられているので、
ご存知の方も多いと思うが、
まずは「消費期限」と「賞味期限」の違いについて。

消費期限とは「安全に食べられる期限」であり、
基本的にその期限を過ぎると食べない方がいいとされている。

対して賞味期限とは「おいしく食べられる期限」を指し、
あくまで品質保持の目安として表示されるもの。
よってその期限を多少過ぎても、食べるにあたっての問題はないという認識で構わない。

両者の違いは、
対象となる食品の品質が劣化していく速度と関係
しており、
生菓子や総菜、おにぎりなど、傷みが急速に進む(食べられる期限が製造日・加工日から概ね5日以内)品目には「消費期限」が、
そして傷みがそれほど早くない(概ね6日以上)品目については「賞味期限」が用いられる。

(ただしいずれの期限も「未開封の状態」という前提があり、高温・多湿など、保存する環境が良くない場合においても品質の劣化が各期限より早く進むことになる)


つまり期限という割に、その定義についてはあいまいなものがある。
そしてこのあいまいさがもたらす懸念を、2つ挙げておかなければならない。


まず、
消費期限と賞味期限を分ける基準が
「食品の品質が劣化していく速度」の違いである

という点。


もちろん消費期限とはいえ、それを過ぎた瞬間からみるみるうちに腐っていくというものではない
よって期限を1日や2日経過したものでも、食べて健康に害を及ぼさないケースは多少なりとも存在することになる。

消費者の安全を考えれば、本当はもう少し長持ちするものであっても念のために期限を前倒しして表示しておく、という措置を求めたいところだが、あまりに期限が短すぎても今度は在庫過多、廃棄量の増加といったメーカー側の弊害につながってしまう。


もう1点着目したいのは、
賞味期限の対象における「概ね6日以上」という部分。


当然ながらこの「6日以上」には、長ければ数ヵ月〜1年以上というものも含まれるわけで、
製品の状態によって期間が大きく異なってくる。

そして品質保持の期間が3ヵ月を超える場合、表示は「年月日」ではなく「年月」のみで良いとされているように、賞味期限が長ければ長いほど、「まだ大丈夫」という有余の幅も広がっていく。

この期限なら間違いなく安全に、という設定で提供することは、
消費者に自社の製品を安心して食べてもらいたい気持ちを表す、いわば誠意につながるものだが、

製造者の利益を優先させる形でその誠意を悪用し、消費者を欺く行為も容易に行えることが、ここしばらくの不祥事によって、すっかり公にバレてしまった。


「1日や2日オーバーしても、ギリギリいけるだろう」とか、
「4ヵ月も5ヵ月も、いや半年も、変わらんよ」とか。



事実、
「食べた人がお腹を痛くしていなければ、それでいい」という、
極めて低いレベルの判断基準が暗にまかり通っていたことにもなる。


「参考までに日付を載せておきますが、食べるも食べないも消費者の自己判断に委ねますよ」という意図があっての「あいまいさ」を、

「消費期限も賞味期限も、どうせいい加減なものだから」と勝手に解釈して、
余剰在庫を減らす目的で改ざん処理に利用したメーカーの罪は重い。



少なくとも「白い恋人」は、これを11年前から行っていた。
口は悪いが、11年間「バレてないからいいや」を通してきたのだ。


この間、何回北海道へ行って、何回おみやげに買って、何回食べただろうと、指折り数えた人も、きっと少なくないはずだ。


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【ゴルフ練習場】 紳士のスポーツを、もっと身近に。

2007年08月14日(火)
 
私の自宅の近所にゴルフ練習場があって、
いつも休みの日になると、全ての打席が埋まる繁盛ぶりを見せている。

ある人はドライバーで豪快に、ある人はピッチングを手にしっかり感触を確かめながら、
みんな脇目も振らず、ただ黙々と球を弾き続けるのみ。
娯楽、趣味、自己鍛練……どの表現でも似合いそうな雰囲気が、ゴルフ練習場には漂っている。

ヒマさえあればゴルフ練習場へ行くという私の友人いわく、
「自分の世界に入って、集中できる」のが、自由な時間を打ちっ放しに捧げる理由なのだとか。
同じ理由でパチンコ屋に通う人も多いが、こちらは金銭的なリスクが大きい。ならば趣味と実益(接待ゴルフなど)を兼ねて、なおかつ誰にも邪魔されない空間で球打ちに没頭するほうが健康的じゃないか、という考え方も分からないことはない。


とはいっても、ゴルフは何かとお金が掛かる。


ゴルフクラブにバッグ。
靴を含めたウエア一式。
ビギナーならボールも1個では足りない。
さらにはゴルフ場のプレー料に飲食代、そして往復のガソリン代……とにかく、お金が掛かる。

となると、毎週のようにゴルフ場でプレーできる人は限られてくる。
かといってゴルフは努力が必要なスポーツ。練習しないことには、決してうまくならない。
だからみんな、打ちっ放しでクラブを振り続ける。よって練習場が繁盛するのだ。


バブル崩壊以降、国内のゴルフ人口は確実に減少しており、閉鎖に追い込まれるゴルフ場も後を絶たない。

しかし競技の世界においては宮里藍や横峯さくら、初優勝を含めて今季ツアー3勝と好調の上田桃子、そして高校生ながら男子プロツアーで勝利を挙げた石川遼など、10代〜20代前半の選手が話題をかっさらっている。そのおかげで世間のゴルフに対する注目度も、タイガー・ウッズが初来日した当時に負けず劣らずの高さである。

そのウッズもそうだが、現在国内外で活躍しているプロのほとんどは幼い頃からクラブを握っている。プロ野球選手やJリーガーと同じ感覚で我が子をプロゴルファーに、と考える親もきっと多いことだろう。実際、ジュニアのゴルファーは少子化に反して増えているそうだ。練習場のゴルフスクールといえばサラリーマンやOL向けだが、最近ではジュニア育成のスクールも多いという。


とはいっても、ゴルフ練習場を作るのにも、何かとお金が掛かる。


広い土地に周りを囲む大きなネット。
打席ごとのティーアップ設備一式。
もちろんボールも1個では足りない。
さらにはクラブハウスの建設にネットの修繕費、そして膨大な電気代……とにかく、お金が掛かる。

となると、新たに作られるゴルフ練習場の数も限られてくる。
かといってゴルフは努力が必要なスポーツ。練習しないことには、決してうまくならない。
だから最近では、オフィスの近くにあって仕事帰りに通える室内の練習場や、最新のバーチャル機能を導入した練習場の需要も伸びている。どんな形であれ、やっぱり繁盛しているようだ。


プラスの部分をうまく生かして、マイナスの部分をいかに補うか。

ゴルフ業界全体として考えても、実際コースに出てプレーするにはそれなりのコストや技量など必要なものが多いゆえに、富裕層のスポーツという固定観念がついてしまった節もある。

まずはいかにして身近な練習場施設へ客を集めるようにしていくかが、アマチュアゴルファーの底辺を広げ、大衆スポーツとしての認識を高めるための大きなポイントとなるのは間違いない。

ゴルフ人口が再び増加に転じれば、ゴルフクラブなどの用具やウエア類、会員権といった各市場も必然的に活性化する。トッププロに交じって若手が頑張っている中、せっかくの追い風を無駄にしないよう、誰もが日常で気軽にクラブを振れる機会がもっと増えればいいのに、と思うのだ。



ちなみに私は小学生の頃、隣の庭から飛んできたゴルフボールが顔面を直撃して、2週間ほっぺにディンプルの跡をくっきりつけたまま学校に通うという屈辱の日々を味わったトラウマがあるので、あんまりゴルフはやりたくない。

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【化学繊維製造業】 生命の神秘に対する「挑戦」

2007年07月31日(火)
 
今から25年前。
アメリカの歯科医、バーニー・クラークさんの体内に埋め込まれたのは、人工心臓。


医師や研究者の決断、そしてクラークさん本人の意思によって執り行われた、歴史的な移植手術。術後の容体は当時、日本でも連日のように報道されていた。我々国民も、高い関心をもってその経過を見守ったものだ。


人工臓器の研究は戦時中から行われていたというが、クラークさんが人工心臓によって生き続けた113日間は、人間の臓器もいつかは人間自身の手で生産され、それが当たり前のように普及していく、その可能性を我々に対して身近に感じさせてくれた最初の記録ではなかっただろうか。


浄水フィルターと同じ原理の「人工腎臓」


目覚ましく進化する医療技術において、臓器移植と並んでこの先の大きな発展が期待されている人工臓器。

中でも人工腎臓については、透析患者が全国で25万人超ともいわれ、年々その数が増加の一途をたどっている背景から、今後の需要がさらに伸びることになるのは間違いないとされている。


人工腎臓は、合成繊維や化学繊維を、中空糸(ちゅうくうし)と呼ばれる真ん中に穴のあいたストロー状の繊維膜に生成し、それを1万本前後の束にして作る。

中空糸は濾過機能にすぐれており、浄水フィルターにも使われている素材であるが、透析においても血液中の老廃物を取り除き、きれいな血液にする効果が得られる。

見た目はプラスチック製のシンプルな筒型。腎臓の形はしておらず、使えるのも1回きり。よって体内に埋め込んで使うものではない。内部に中空糸のフィルターが入っており、患者から取り出した血液を体外で浄化して、再び患者に送り返すという仕組みである。


目指すは「本物の臓器」


人工腎臓の大手メーカーが、中空糸の紡績から製品の組み立てまでを一貫して行う大規模な生産施設を建設するという。

完成すれば年間550万個もの大量生産が可能になるというが、海外も含めて需要がさらに増える見通しを考えれば、十分な供給量に達しているかどうかという見極めは難しく、加えて透析時における患者の負担を思えば、まだまだ品質や機能の改良余地は大きく残っている。


使い捨てではなく何度も繰り返して使えるもの、さらには人工腎臓と呼ぶのであれば本物の臓器のごとく、埋め込み式にして永久的に使えるものであって然るべきなのでは、という純粋な疑問に行き着いた人も多いはずだ。

日常に何の不自由もなく、「五臓六腑の1つとして機能する」人工腎臓の開発が待たれるところだが、これは胃や肝臓といった他の臓器もあわせて、科学の力が生命の神秘にどこまで近づけるかという「人類の挑戦」を意味した、これから先の長きにわたる、医療技術の大きなテーマになっていくことだろう。


クラークさんの英断から本格的に始まった、人間と人工臓器の融合に向けた挑戦。倫理的な側面も含めてさまざまな論議が飛び交う中、今後の研究、開発の行方が非常に興味深い領域である。

しかしいつの日か、その挑戦が実を結び、病に苦しむ患者がその恩恵を受ける世の中になったとき、我が国に「人工臓器の製造」という新しい産業が確立されることになるのだろうか……そんな遠い未来の想像が、ふと、頭に浮かんだ。

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【衛生陶器製造業】 あんなものまで口を開く時代

2007年07月17日(火)
 
衛生陶器といってもイマイチ、ピンとこない言葉に聞こえるが、
遠回しをやめて身近な呼び名を使うなら
トイレの便器や洗面台、ということになる。


正確にはお風呂の浴槽も、衛生陶器の中に含まれる。
しかし国内においては陶器よりも、FRPやほうろう、人造大理石などの素材が現在の浴槽には多く使われているため、陶器のイメージが一般的とはいえなくなった。


トイレも昔は、駅や公園などで見られるような白い陶器のデザインが見慣れた定番だった。それが下水道の整備やライフスタイルの変化によって、洋式便器が急激に普及したことをきっかけに、素材やデザインの多様化はもちろんのこと、便利で清潔感を向上させる機能も次々と開発、製品化されていく流れとなる。


今やスタンダードともいえる温水洗浄便座をはじめ、脱臭機能、バリアフリー対応の設備、センサーによる自動洗浄、フタの自動開閉、タンクレスなど……最近ではガラス系の素材で水をはじき、洗浄方法に工夫を凝らすことで、本来は3〜4日に1回必要なブラシ掃除が3ヵ月に1回でも大丈夫、という画期的なトイレも登場している。



どこまでが「便利」? どこからが「過剰」?


この線引きが分ける左右によって、
「大きなニーズの喚起」、あるいは「単なる蛇足」、
どちらの結果に転ぶかが決まる新商品、アイデア商品の行方。


果たしてこの場合はどうだろう。
トイレはもっと、便利なものにならなければいけないのか?


オランダの家庭用品メーカーが、
音声チップ内蔵の便座からメッセージが流れる「しゃべるトイレ」を開発した。


本来の目的は、利用者にシートペーパー(トイレットペーパー)を供給する際に流すメッセージの提供だが、音声の録音・再生も可能なことから音声広告のサービスにも応用できるそうで、店舗や飲食店など、公共施設での需要をメーカーは見込んでいるようだ。


静かで落ち着いた環境であるべきトイレの中に、広告の要素。
それも程度によっては、騒がしい雑音とも取られかねない宣伝のメッセージ。

客観的に見れば興味深い発想だが、
いざ自分がそのトイレを使う立場になった時、
この機能に対してわき上がるのは好奇心か、それとも嫌悪感か。





ところで、


シートペーパーを供給する際に流すメッセージの提供、といっても
せいぜい「紙どうぞ」のような、ありきたりの表現なのだろう。


これとは別に、洗浄を促すメッセージも用意されているとのことで、
こちらは「ちゃんと流して下さいよ!」みたいなメッセージになるのか。


ならば、何かのシチュエーションを作ってやれば話題になるかもしれない。
例えば、口うるさい母親につべこべ言われながらのトイレ。
どうせなら、用を足している時の状況に応じてメッセージが流れる仕組みにすれば、なお面白い。





「あんまり力みすぎたら、痔になるわよ!」

「何よこれ! ちゃんと野菜も食べなきゃダメでしょ!」

「しっかり拭いた? 流してから出るのよ! 手もちゃんと洗いなさいよ!」










……私は遠慮する。こんなわずらわしいトイレは。
 
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【清涼飲料製造業】 水道水を、ペットボトルで。

2007年07月03日(火)
 
「昔はわざわざお店で水を買うなんて信じられなかったのに」
「そうだよね。今じゃ普通だもんね。こっちの方がおいしいもの」


電車の中で、ミネラルウォーター片手に会話を交わす2人の女性。共感できるという読者も少なくないのではないか。小さい頃、蛇口から出る水だけでなく、井戸水や川の水までガブガブ飲んでいた田舎生まれの筆者もその1人だ。


ミネラルウォーター(ボトルドウォーター)といえば、せいぜい災害などの非常時に備蓄するもの、あるいはウイスキーなどの水割り用として売られていた程度。でもそれは、自然の水や蛇口から出てくる水が、パッケージされた水よりもはるかにおいしく飲めた時代の話である。


「蛇口から出る」ものから「店で買う」ものに


年々、右肩上がりを続けるミネラルウォーターの国内消費。
輸入品の流通も盛んとなり、今では清涼飲料水全体の売上に大きく貢献するまでの立派な売れ筋商品となった。


地下水の硬度が高すぎて飲用に適さない欧州では、ミネラルウォーターを飲用とする習慣が古くから根付いている。病原菌を多量に含むなど水事情の良くない国や地域でも、ミネラルウォーターへの依存度は概ね高い。


日本で水道水が飲まれなくなったのは、水源や設備の環境悪化に伴う部分が大きいように思われる。


水道管の老朽化(サビなど)が原因となってもたらされる有害物質の危険、ならびに消毒目的で添加される塩素やカルキの臭いへの不快感が叫ばれるようになったのは今から20年ほど前。浄水器の売上が急激に伸びたのと同時に、ペットボトル入りのミネラルウォーターも徐々に一般家庭へと普及していった。


手軽に持ち歩くことを可能にした500mlペットボトルの発売、そして健康志向の高まりによってお茶などと並んで日常的な水分補給に使われるようになったことも、市場の拡大に拍車を掛けた要因として挙げられるだろう。


安全性だけでなくカラダにも良くておいしい水をと、消費者のこだわりやニーズも多様化を見せるようになり、ミネラルウォーターは日本の食文化に溶け込んだだけでなく、大衆の飲み物としての地位を築いた感もある。


課題は「売れた後、どうするか」


東京都水道局の「東京水」や大阪市水道局の「ほんまや」など、各自治体が供給する水道水をペットボトルで販売した商品が話題となっている。


蛇口をひねれば出てくる水を、わざわざペットボトルに詰めて売るってどうなのか……とも思ったが、高度化している浄水処理の技術を説明っぽくPRしてもなかなか浸透しない、ならば商品化して飲んでもらうしかない、というのが各自治体の本音なのだろう。


味の評判、売れ行きともに上々の自治体が多いようだが、水道水に対する不安は簡単に払拭できない。「ペットボトルの水が売れた」という事実だけが残る結果とならないよう、水道水の安全性をアピールするための足掛かりとして信頼回復につなげてもらいたいものだ。水道水とはいえ、お金を払っているのは同じなのだから。


……もっとも、それが叶えば今度はミネラルウォーターの市場に影響が出る可能性も否めないが。あっちを立てればこっちが、という世の中の難しいところである。
 
フィデリ・業種ナビ】 ⇒ 清涼飲料製造業


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各業界の 「+α 」 をチェック!(フィデリ・業界動向コラム)

2007年06月28日(木)
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