【製茶業 ほか】 茶葉を知り 茶の味を知る
2009年04月16日(木)
私の知人はつい最近まで、
英国に「紅茶の木」があると本当に思っていたらしい。
何をそんな冗談を・・・と、笑ってはいられない。
私も紅茶や烏龍茶はそれぞれの苗から育てていくものだと、
子どもの頃は思い込んでいた。
周りに聞いても、意外に常識と呼べるほど知られていなかったこの事実。
緑茶だろうと紅茶だろうと烏龍茶だろうと、
元をたどれば同じ「お茶の木」である。
紅茶を作るのであれば、葉を摘んだあと、完全発酵(酸化)させることで
茶色く変色させ、独特の香りを生み出させる。
烏龍茶は半発酵茶とも呼ばれ、紅茶よりも短時間の発酵によって、
これもまた独特の風味を持った茶葉を作り上げる。
緑茶はというと、摘んだ葉をすぐ蒸し機にかけることで、
発酵の活性を食い止める。これによって鮮やかな緑色の状態を保たせるのだ。
・・・つまり日本でも、緑茶に限らず紅茶や烏龍茶も作ることは可能であり、
紅茶や烏龍茶に適した品種を実際に栽培、生産している地域も国内にある。
しかし、立地や気候などの条件に左右されやすいのが茶の難しいところ。
日本においては三大産地(駿河・宇治・八女)をはじめ、良質の緑茶が育ちやすい
環境とされており、独自の緑茶文化が生まれる背景にも大きく関係している。
●「冷たい緑茶」が飲まれ始めたのは?
世界的な茶の生産国といえば、中国はもちろん、
インドやスリランカといった紅茶で有名な国もすぐ思いつく。
ここで冒頭の知人が問う。
「英国は?」
いやいや。英国は原料ではなく
「紅茶の入れ方、飲み方、楽しみ方」という点で文化が栄えた国。
「英国式ゴールデンルール」と呼ばれる入れ方は、世界のスタンダードとなっている。
「格式ある茶の楽しみ方」は日本の茶文化にも当てはまるが、それと同時に
茶を人々のライフスタイルと融合させ、カジュアルな飲み物として普及させたのも、
日本が先駆けである。その象徴となるのが「アイスで飲む」という概念。
30代半ば以上の方なら、自分が幼い頃の「冷たいお茶」といえば、せいぜい
麦茶かレモンティーぐらいしかなかったという記憶にたどり着くだろう。
今ではペットボトル入りのお茶を飲まない日がないという人も多いくらい、
葉っぱではなくドリンクとしての茶が広く普及しているが、大げさではなく
つい最近始まった習慣である。
今ではアジア各国に、ペットボトル入りの冷たい緑茶や烏龍茶が「逆輸入」されているが、
慣れない形での飲み方はまだまだ口に合わないようで、コンビニなどで多く見られるのは
「蜂蜜入」「砂糖入」の文字。日本人が旅行先で購入する際には、十分気をつけねばならない。
●新茶の季節にぜひ試してほしい「水出し」
さて、今年も新茶の時期。
「夏も近づく八十八夜」と歌われるように、おいしい新芽が採れるのは
立春から88日を数える頃。しかしその5月初旬を待たずして、店頭には
早摘みの新茶が続々と並んでいる。
静岡に次ぐ生産量を誇り、毎年全国のトップを切って初セリが行われる鹿児島新茶は
有名だが、現在ではハウス栽培などの技術によって、新茶が市場に出回る時期もずいぶんと早くなった。
香りの良さだけでなく瑞々しさも特徴的な新茶は、お湯ではなくじっくり時間を掛けた
水出しで飲むと、独特の甘みが口中に広がり、お茶の新しい味わい方を楽しむことができる。
ペットボトルの緑茶商品も、そろそろラベルに「新茶」と書かれたものがスーパーや
コンビニに並び始める頃だが、たまには手間を要しても、葉っぱを眺めつつお茶を頂き、
茶の持つ本来の味を改めて実感することもぜひおすすめしたい。
(文:フィデリ編集部 松尾)
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